2016 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
16K07266
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
大嶋 篤典 名古屋大学, 細胞生理学研究センター, 准教授 (80456847)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 高分解能単粒子解析 / ギャップ結合チャネル / クライオ電子顕微鏡 / 原子モデル |
Outline of Annual Research Achievements |
線虫が持つギャップ結合チャネルタンパク質innexin-6(INX-6)の高分解能構造解析を目的として、クライオ電子顕微鏡を用いた単粒子解析を行った。 試料調製において、フリーの界面活性剤ミセルを除く目的でGraDeR(Hauer et al. (2015) Structure)を適用したのち、精製INX-6チャネルを凍結してクライオ電子顕微鏡観察を行った。 K2 summit direct detection cameraによって約1000枚の電子顕微鏡像を撮影したのち、INX-6のヘミチャネル部分を約34万粒子、ギャップ結合チャネル部分を約3万5千粒子集め、画像解析の結果、それぞれ3.3Å分解能、3.6Å分解能で三次元再構成し、原子モデルの構築に成功した。 INX-6は16量体構造および単量体構造ともにCx26と類似しており、N末端ファネル、膜貫通へリックスの並び位置、細胞外ループに存在するβヘアピンとS-S結合の位置が共通していた。また細胞質ドメインがギャップ結合チャネルとして初めて明らかになり、細胞内ループとC末端が共にヘリックス-ターン-へリックスを作りながら相互作用してコアを形成していた。これが隣接サブユニット間で接触して屋根型ドームを形成し、N末端ファネルから伸びるループを細胞質側から押さえ込む配置にあった。 本構造から明らかになったINX-6とCx26の構造の類似性は、2つのファミリーは遺伝的に相関があり、早期の分岐から非常に長い時間を経て相同性が見られないほどにアミノ酸配列が変化した可能性を示唆する。そしてN末端ファネルがギャップ結合チャネルの機能に重要であると考えられ、これはイネキシン、コネキシンの両ファミリーでおそらく保存されていると推測される。 この結果はNature communications誌に発表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
1年目にして可溶化状態のINX-6チャネルの原子モデルの構築に成功し、単粒子解析の高分解能化には試料調製の最適化が最も重要であることが分かった。これにより、今後も膜タンパク質の高分解能単粒子解析を推進することができるようになった。
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Strategy for Future Research Activity |
今回得られたINX-6の構造は可溶化状態で、膜貫通領域を界面活性剤ミセルが囲んでいる。本来膜タンパク質が機能する脂質二重膜中における構造を解明するため、INX-6を脂質二重膜に再構成した状態での構造解析に取り組む。この時、再構成法としてナノディスクを用いて単粒子解析に利用する。 当初計画に入れていたヘリウム温度での単粒子解析は、本計画中に液体窒素温度での撮影の方が良質な画像を得られることが判明したため、当面窒素温度でデータ収集を行うものとする。
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Research Products
(6 results)