2017 Fiscal Year Research-status Report
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16K07266
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
大嶋 篤典 名古屋大学, 細胞生理学研究センター, 教授 (80456847)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | クライオ電子顕微鏡 / ギャップ結合チャネル / イネキシン / ナノディスク / 単粒子解析 |
Outline of Annual Research Achievements |
クライオ電子顕微鏡単粒子解析で既に解かれた線虫innexin-6(INX-6)の原子構造はギャップ結合を形成した状態のチャネル、かつ可溶化状態であった。GraDeRを用いてフリーの界面活性剤ミセルを除去したが、膜貫通領域は界面活性剤ミセルに覆われている。本来膜タンパク質が機能する脂質二重膜中に再構成された状態で構造解析できれば、より天然に近い状態での機能の解明につながる。また、ギャップ結合形成メカニズムを理解するためには、ギャップ結合が外れたヘミチャネルの状態で構造解析を行う必要がある。これらの目的を達成するため、INX-6ヘミチャネルを脂質二重膜に再構成した状態での構造解析に取り組んだ。 脂質二重膜への再構成法にはナノディスクを用いた。INX-6チャネルを大量に発現、精製したのち、脂質、MSP、INX-6精製タンパク質の混合量比を検討してバイオビーズで界面活性剤を除去した結果、INX-6のヘミチャネルがナノディスクに再構成されたと思われる試料を得ることができた。このことは界面活性剤フリーで行うゲル濾過クロマトグラフィーと負染色電子顕微鏡像で確認した。 この試料を用いてクライオ電子顕微鏡用の凍結試料を作製し、クライオ電子顕微鏡像から二次元クラスアベレージを計算した結果、二次構造が確認できるINX-6のヘミチャネルの平均像が得られた。クライオ電子顕微鏡像の中にはINX-6のギャップ結合状態のものが混じってはいるが、二次元クラスアベレージの中には典型的なギャップ結合チャネルの平均像がなく、ギャップ結合状態のチャネルの割合は低いものと考えられた。現在は三次元再構成に向けたクライオ電子顕微鏡像の収集を行っている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
INX-6のギャップ結合状態のチャネルは既にクライオ電子顕微鏡で原子構造が解析された。脂質二重膜に再構成した状態のINX-6チャネルも、ナノディスクを利用することによってクライオ電子顕微鏡単粒子解析に適した試料が作製でき、残りの期間で高分解能解析が期待できると思われるため。
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Strategy for Future Research Activity |
当初の研究計画では脂質二重膜のシートにINX-6を再構成させる予定であったが、単粒子解析に適した試料ができなかったため、ナノディスクに変更した。その結果、INX-6のヘミチャネルが再構成されたナノディスクの試料が精製できているので、本年度でクライオ電子顕微鏡のデータ収集を行って、高分解能を目指した三次元再構成を行う。
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