2016 Fiscal Year Research-status Report
枯草菌一般ストレス応答蛋白質の構造とシグナル分子の解明
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16K07287
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Research Institution | Japan Synchrotron Radiation Research Institute |
Principal Investigator |
熊坂 崇 公益財団法人高輝度光科学研究センター, タンパク質結晶解析推進室, 副主席研究員 (30291066)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | X線結晶解析 / 微生物 / ストレス応答 / シグナル伝達 |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度は以下のような研究を実施した。 1. 目的タンパク質の発現・精製:Rsbタンパク質群以外のタンパク質、特にObg, RplK, RplM, RelAについては、発現系の全面的な見直しによる効率化を進めている段階である。RsbPについては、全長で安定な構造を得ることが困難なため、3つのドメインをそれぞれ分割した試料の発現系も用いたが、複数のドメインを融合した調製は今後の課題である。RsbSについては、結晶中に非対称単位中に多くの分子を含むため解析が困難を極めているが、発現系の見直しも行い、別の結晶系を得られるような変異を加えた新たなデザインを行った。 2 & 3. 未知シグナル分子の同定および結晶化と構造解析:枯草菌RsbQの未知シグナル分子の同定について、結晶化と構造解析を同時に進め、細胞抽出物ならびに候補分子に対する結合構造の解明ができた。このことで、RsbPにもつながるシグナル伝達経路の解明が進むと期待できる。なお、両者の結合構造は活性中心近傍では類似しているが、一部異なる部分も確認されており、抽出物の同定が今後必要となっている。一方、RsbSについては3.0Aの結晶回折データの解析を継続して進めた。結晶化条件の再検討と解析法の見直しを進めている。 4. 溶液散乱構造の解析:RsbPについて、これまでに得られているRsbP-PASのシグナル候補分子複合体の解析と合わせ、RsbPの全長構造解析に向けた結晶化と、より精度の高い溶液散乱データの取得のため、試料調製条件の再検討を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
実施体制に若干の変更が必要となったため、特にRsbPの実験において、遅れが生じた。一方で、RsbQのシグナル分子の解析については進捗が大きく、全体としてはおおむね順調に進んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
RsbP全長について、結晶化とシグナル分子複合体の溶液散乱データの取得を進める。また、他のタンパク質の発現系の再構築と発現実験を進め、順次結晶化を進めていく予定である。RsbQ結晶で結合が観測された未同定の分子については、質量分析等を利用して構造解明を目指す。RsbSについては、他の研究予算で実施している新規結晶化技術開発とも連携を行い、非対称単位中に少ない分子数が含まれるような結晶の調整を狙う。
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Causes of Carryover |
一部の実験を分担していた学生が退学し、研究に従事する人員が減少したため、実験計画を見直す必要が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
今年度は博士研究員を本研究について15%のエフォートで雇用し、この人件費に充当する。
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