2016 Fiscal Year Research-status Report
GPCRのエンドサイトーシスを制御する因子の網羅的探索
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16K07303
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Research Institution | Tokyo University of Science |
Principal Investigator |
十島 二朗 東京理科大学, 基礎工学部生物工学科, 教授 (00333831)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | エンドサイトーシス / メンブレントラフィック / クラスリン / GPCR / 出芽酵母 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度研究に沿って以下の研究を実施した。「GPCRのクラスリン小胞への輸送機構の解明」については、エンドサイトーシス異常を示すクラスA変異体について、放射標識したリガンド、および受容体を蛍光標識することにより細胞膜上でのGPCRの動態を解析した。この結果、クラスAに分類された24変異体において、さらにリガンドが結合してからクラスリン被覆小胞への集積に異常があるものと、クラスリン小胞に取込まれてから細胞内への輸送に異常があるものに分類できることが明らかになった。さらに、細胞内への取り込みに異常がみられる変異体については、その多くがアクチン骨格の動態に異常があることが明らかになった。このため、現在アクチン骨格の制御因子であるRho GTPaseなどの関与について解析を進めている。 「クラスリン小胞の輸送に関わる新規制御因子の同定」については、本年度の計画通り、クラスBに分類された変異体について、細胞内のエンドソームの構造、および蛍光α-factorが蓄積する区画をオルガネラマーカーと比較することにより、その細胞内輸送における役割を調べた。また、脂質フリーパーゼファミリーについては分子間相互作用について調べるために二重および三重変異体を作製し、その機能の重複性について明らかにした。 「GPCRのエンドソーム間輸送およびリサイクリング機構の解明」については、Rab5タンパク質について、各クラスB変異体における局在を解析し、Rab5の局在に著しく影響をあたえる遺伝子の同定を行った。また、初期から後期エンドソームへの成熟過程におけるRab5の活性化機構について調べ、Rab5のGEFであるVps9およびMuk1のゴルジ体局在が重要な役割を果たしていることを明らかにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究の目的はスクリーニングにより出芽酵母変異体について、その表現型を解析すると共に、責任遺伝子のコードするタンパク質の機能を明らかにすることにより、GPCRのエンドサイトーシスの各過程を制御する分子機構を明らかにすることである。このため、(1)GPCRのクラスリン小胞への輸送機構、およびクラスリン小胞の形成機構の解明、(2)GPCRの細胞内小胞輸送におけるアクチン細胞骨格の役割と分子機構の解明、(3)GPCRのエンドソーム間輸送およびリサイクリング機構の解明、(4)後期エンドソーム-リソソーム間輸送の分子機構の解明、の4つを柱としたプロジェクトが進行中である。これまの研究において、これら4つのプロジェクトは実験計画通りに進行しており、スクリーニングにより同定された遺伝子のエンドサイトーシスにおける役割も明らかになりつつある。本研究プロジェクトは昨年が初年度であり、残り2年において当初の目的を達成することは可能であると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでの研究において、スクリーニングにより同定されたGPCRのエンドサイトーシスを制御するタンパク質の機能分類が進められている。特に、クラスリン小胞へのGPCRの輸送については、Cho1やStt4などの細胞膜内脂質の代謝酵素が重要な働きをしていることが明らかになった。今後は、これらの分子について物理的および遺伝学的相互作用をさらに詳細に調べ、新しい機能的タンパク質複合体の同定を試みる。 アクチン骨格の制御機構については、Rhoファミリータンパク質について温度感受性変異体の作製を行い、ファミリー間の機能重複性を明らかにするとともに、クラスリン小胞、エンドソーム輸送における役割を明らかにする。また、単量体アクチン結合タンパク質であるSrv2について、プロフィリンやコフィリンなどの他のアクチン制御因子との相互作用について解析する。 さらに、GPCRのリサイクリング機構について、Rabファミリータンパクを中心とした解析を進めるとともに、後期エンドソーム-リソソーム間輸送の分子機構についての解明についても解析を開始する。
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Causes of Carryover |
平成28年度に作製予定であったDNA合成が予定より少なかったこと、および委託シーケンス費用が予定よりすくなかったため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
平成29年度以降のDNA合成費および委託シーケンス費用として使用する。
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Research Products
(34 results)