2019 Fiscal Year Annual Research Report
Structural bases for mRNA cleavage on the ribosome by RelE, a bacterial toxin
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16K07310
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Research Institution | Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
竹本 千重 国立研究開発法人理化学研究所, 生命機能科学研究センター, 副チームリーダー (40306527)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | リボヌクレアーゼ / リボソーム / X線結晶構造解析 / 切断反応機構 / RNA / 分子動力学 / 高度好熱菌 |
Outline of Annual Research Achievements |
バクテリアトキシンRelEは、リボソーム中でmRNAを切断するエンドリボヌクレアーゼであり、アミノ酸飢餓に応答してタンパク質合成を阻害する役割を担っています。その反応機構は切断後のRNA断片の末端が2',3'-cyclic体であることから、切断反応に金属が関与しない一般酸塩基触媒機構が提案されています。しかし、 既知構造から予測される重要残基の変異体が顕著に活性を失わないなど、未解明な点が残されています。 本研究では、申請者らがX線結晶構造解析により決定した高度好熱菌T. thermophilusの野生型RelEとリボソー ム・mRNA複合体の構造に基づいて、反応メカニズムの詳細を明らかにすることを試みました。今年度は、"pre-cleavage state"構造に基づいたモデル構造から反応メカニズムの推定を試みました。まず、mRNAの切断部位のデオキシヌクレオチドのC2'に水酸基を生成させて、リボヌクレオチドに置換しました。CNSでminimizeをかけると、デオキシ体ではC2'-endoだった糖のpuckerはC3'-endoに変わりました。塩基部分はTyr88とのスタッキングを維持しつつ、水酸基同士の近接を解消し、2'Oは切断部位のリンとの距離が3Å、角度は141度、リン酸基との距離は2.5Åとなりました。一方、Lys57は2'Oに疎水面を向けるなど、アミノ酸の位置はほとんど動きません。また、リボースのpuckerをC2'-endoに固定してminimizeを行うと、2'Oとリンの距離は3Åで角度は170度、リン酸基との距離は2.9Åでした。 これらの構造とpropka3.1によって算出した切断に関わる残基のpKa値を合わせて検討し、2'-OHのプロトン脱離から反応中間体を経る一般酸塩基触媒機構ではなく、Arg64, Arg84の酸触媒による反応機構を提案しました。
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Research Products
(2 results)