2018 Fiscal Year Annual Research Report
Development of micro second measurement for functional analysis of DNA binding proteins
Project/Area Number |
16K07313
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
鎌形 清人 東北大学, 多元物質科学研究所, 准教授 (90432492)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | がん / 蛋白質 / 一分子計測 / DNA |
Outline of Annual Research Achievements |
DNA結合タンパク質は、膨大なDNAの中から標的配列を探し出し、結合する。DNA結合タンパク質の標的DNA配列の探索には、実験的に検証しにくい“ホッピング”や“セグメント間移動”などの探索機構が存在する可能性がある。本研究では、従来の装置の分解能ミリ秒以内に起こる“ホッピング”などの探索機構を検証し、DNA結合タンパク質が標的DNA配列を認識し結合する過程を明らかにした。 まず、本研究で開発したサブミリ秒の時間分解能の単分子蛍光装置を用いて、がん抑制DNA結合タンパク質p53の計測を行い、“ホッピング”の定量的な解析を行った。その結果、p53は、毎秒1回程度の割合で、ホッピング運動をすることが分かった。また、p53のDNAへの結合を詳細に調べたところ、これまで知られていた数10ミリ秒程度の比較的長い結合に加えて、約1ミリ秒の素早い結合があることを明らかにした。この過渡的な結合は、DNA上をスライディング探索する前の中間体と考えられる。または、高速3次元的な標的DNA配列の探索と考えられる。 次に、障害物のあるDNAにおいてp53がDNA探索時に障害物を回避する仕組みとして、あるDNAから別のDNAへ移動する“セグメント間移動”が考えられる。ストップトフロー装置を用いて、p53のセグメント間移動を調べた。その結果、p53が拡散律速に近い速度で2本のDNA間を移動できることが明らかとなった。昨年度得られた単分子計測の結果と合わせて、細胞内でp53はセグメント間移動を用いて、DNA上の障害物を避け、効率的に標的DNAの探索を行っていると結論付けた。
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