2019 Fiscal Year Annual Research Report
Studies on the transition state of protein folding by means of correlation analysis between the folding rate and the native structure
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16K07314
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
桑島 邦博 東京大学, 大学院理学系研究科(理学部), 名誉教授 (70091444)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | フォールディング / 速度論 / 遷移状態 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では,温度補正を取り入れた、フォールディング速度データーベースの構築を行うとともに,速度論的パラメータと蛋白質の立体構造特性との間の相関を解析し,フォールディング分子機構の解明を目指す。2019年度の研究実績を以下に示す。 単一ドメインの球状蛋白質には,天然状態(N)と構造の完全にほどけた状態(U)の二状態のみを示す,二状態蛋白質と,モルテン・グロビュール(MG)状態などの中間状態(I)を示す,非二状態蛋白質があるが,これら両者の関係は明確ではない。I状態は,蛋白質の会合などによりもたらされた,間違った状態であり,真のフォールディング中間体ではないと主張する研究者もいる。そこで,二状態蛋白質と非二状態蛋白質のそれぞれについて,フォールディング速度と蛋白質の構造特性との相関を研究した学術論文を調査し,二状態蛋白質と非二状態蛋白質との関係を明らかにした。1998年から2018年の間に公表された,蛋白質フォールディング速度と蛋白質構造特性との相関について研究した,学術論文30報を詳細に検討し,二状態蛋白質と非二状態蛋白質との間で,構造特性との相関において,どのような類似点と相違点があるかを検討した。以下の結論が得られた。(i) MG状態などの中間体を示す階層的非二状態フォールディングが蛋白質フォールディングの一般的な機構である。(ii) 二状態フォールディングは非二状態フォールディングが単純化した結果であるが,それには二つのシナリオが考えられる。つまり,シナリオ1は,I から N に至る過程の自由エネルギー障壁が低下したことにより,UからIを蓄積せず直接Nに至るようになったというシナリオであり,シナリオ2は,IからNへの障壁の低下はないが,Iの不安定化により,見かけ上二状態転移を示すシナリオである。
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Remarks |
本科学研究費のサポートにより作成されたデータベースが公開されているホームページである。
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Research Products
(7 results)