2017 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
16K07317
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
村上 緑 名古屋大学, 理学研究科, 講師 (20324387)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | ロドプシン / 結晶構造解析 |
Outline of Annual Research Achievements |
イカロドプシンを対象に結晶構造解析を進め、これまでに低温トラップ法により5状態(暗順応状態、バソ中間体、ルミ中間体、イソロドプシン、LM中間体)の構造を求め、光吸収によりイカロドプシンに惹起される構造変化がウシロトプシンとは大きく異なることを見出してきた。本研究ではこれまでの研究の発展形として、新しい構造解析手法として近年ユーザー利用が進んでいるX線自由レーザーを用いたシリアルフェムト秒構造解析をイカロドプシンに適用することを目標とした。昨年度は1年間在外で共同研究を行い、帰国した本年度は導入した新しい技術を取り入れて結晶化に取り組んだ。 1)無脊椎動物ロドプシンの光反応サイクルは双安定性を示すため、暗順応型、光活性型の2種の結晶を出発点とすれば光反応サイクルの全容を明らかにすることができる。微結晶化実験もこの2種について取り組み、得られた結晶についてあいちシンクロトロンセンターのビームラインにおいて回折実験を行った。暗順応状態については4Åを超える分解能の結晶を得ることができた。酸性型メタ状態についても暗順応状態の微結晶化条件と同様な条件で結晶が得られた。 2)低温法による光活性化状態の構造解析を目指して、従来の高塩濃度溶液を結晶化溶液に用いて結晶化を行った。光を照射した結晶化試料に対し酸性型メタ状態が100%生成する結晶化条件下で結晶を得て、SPring-8において大きい結晶を用いて回折実験を行いデータセットを収集した。現在3.6Å分解能で構造解析中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
主鎖構造を決定可能な分解能まで回折能を向上させることができたため。一般に、膜蛋白質の結晶を得るのは比較的「簡単」だが、分解能を向上させるのは困難な場合が多いため「順調」と判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
再現性の向上、結晶のサイズに均一化を試み、SFX実験に着手する。抗体などとの複合体形成により光活性化状態の安定性を向上させる。
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Causes of Carryover |
昨年度の在外研究により研究費を使用する時期が半年以上ずれたため。今年度は主に結晶化実験、人件費、旅費に使用する予定。
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Research Products
(3 results)