2018 Fiscal Year Annual Research Report
Structural dynamics analysis of extract protein from target organisms
Project/Area Number |
16K07329
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Research Institution | Suntory Foundation for Life Sciences |
Principal Investigator |
山本 竜也 公益財団法人サントリー生命科学財団, 生物有機科学研究所・統合生体分子機能研究部, 研究員 (70437573)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | H/D交換 / 質量分析 / ソフトウェア開発 / 微量解析 |
Outline of Annual Research Achievements |
質量分析とH/D交換反応を利用して、大量発現系を用いずに目的とする生体試料から直接微量タンパク質を取り出し、その構造変化をみるという課題に挑んだ。本年度は具体的にはAdenylate kinase(AK1)、やMAPRファミリータンパク質といった細胞増殖を担うタンパク質群を中心に、測定データの収集を行った。HEK293などの培養細胞を10cm dish にfull growthまで増殖させた細胞塊から、AK1とNeudesin、PGRMC1抗体と磁気ビーズを用いて濃縮精製を行いH/D交換反応を測定できる条件を検討した。AK1については10cm dish 1枚から検出できることが示されたが、PGRMC1などは検出自体が不安定であることが分かった。現状では比較的多く存在する代謝タンパク質などでは検出可能であるが、微量タンパク質の検出はより高効率な前処理条件を検討する必要がある。また構造内の部位特異的情報を取得するためのサンプル不均一性(翻訳後修飾、タンパク質間相互作用、基質結合状態など)をどう分析するのかという新たな課題も見えてきたが、基質添加や相互作用タンパク質の添加などにより際しい情報が得られる可能性が広がった。 方法論の基盤構築については本課題にて開発したMALDI質量分析H/D交換解析の専用ソフトウェア(ソフトウェア名:scipas DX)の高速化、交換率の分布から構造変化のクラスターを探索するアルゴリズムの開発に成功し、より高度な解析が行える体制が整った。また前処理時の空気中の水蒸気との反応におけるデータのふらつきをなくすため、小型のグローブボックス型反応装置を構築した。その結果得られるデータのばらつきが半分程度まで抑えられ、より精度の高いデータを得られるようになった。ソフトウェアと装置開発の結果、動きが同期している構造部位の解析への新たな道が開けた。
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