2016 Fiscal Year Research-status Report
ゴルジ体形成に働くp97ATPase膜融合のユビキチン化による制御
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16K07353
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
近藤 久雄 九州大学, 医学研究院, 教授 (20205561)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 膜融合 / ユビキチン |
Outline of Annual Research Achievements |
ゴルジ体と小胞体は、共に細胞内蛋白質輸送に重要であるが、その形成維持の仕組みは大きく異なる。ゴルジ体は細胞分裂期に一旦小胞化して終期に娘細胞で再構成されるのに対して、小胞体は細胞分裂期でもその構造が保たれる。これら二つの小器官において共通して働く膜融合機構としてp97ATPase経路を申請者は発見しているが、その作用機序は細胞内小器官において幾つかの点で異なる。中でも、ゴルジ体のみにおいて細胞分裂期における再構成でユビキチン(Ub)化修飾が必要であり、ゴルジ体形成の特異性との強い関連性が示唆される。 我々は先に、p97ATPaseによるゴルジ体形成に必須な脱Ub化酵素VCIP135に対して、活性化因子Wacを発見している。本研究では、このWacに対する新規結合因子をYeast two-Hybrid法で探索していた結果、siah1aを同定することに成功した。このsiah1aはE3ユビキチンリガーゼであったが、その機能についてはよく分かっていない。さらに、そのリコンビナント蛋白質を大腸菌で発現・精製し、Wacとの結合を試験管内で確かめたところ、直接に結合することが確かめられた。このWacとの複合体は全く新規のものであった。現在は、リコンビナント蛋白質を抗原としてウサギに注射し、抗体を作成しているところである。抗体が得られれば、その細胞内局在はもとより、その機能についても検討するための重要なツールが得られることとなる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究では、Wacに対する新規結合因子をYeast two-Hybrid法で探索し、siah1aを同定することに成功した。このsiah1aはE3ユビキチンリガーゼであった。さらに、そのリコンビナント蛋白質を大腸菌で発現・精製し、Wacとの結合を試験管内で確かめたところ、直接に結合することが確かめられてもいる。
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Strategy for Future Research Activity |
現在、リコンビナント蛋白質を抗原としてウサギに注射して抗体を作成しているところである。この抗血清が得られたら、その細胞内局在を検討する。また、siRNA法でsiah1aの発現を抑制して、その表現型を検討する。
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Causes of Carryover |
抗体作成が遅れているため、次の実験計画が遅延しているから。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
当初の予定通り、作成した抗体を用いて、細胞内局在やその機能について検討を進める。併せて、昨年度に単離した複合体の新規因子についても探索を進める。
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