2018 Fiscal Year Research-status Report
ゴルジ体形成に働くp97ATPase膜融合のユビキチン化による制御
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16K07353
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
近藤 久雄 九州大学, 医学研究院, 教授 (20205561)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 膜融合 / VCIP135 / ゴルジ |
Outline of Annual Research Achievements |
ゴルジ体と小胞体は、共に細胞内蛋白質輸送に重要であるが、その形成維持の仕組みは大きく異なる。これら二つの小器官において共通して働く膜融合機構としてp97ATPase経路を申請者は発見しているが、その作用機序は細胞内小器官において幾つかの点で異なる。中でも、ゴルジ体のみにおいて細胞分裂期における再構成でユビキチン(Ub)化修飾が必要である。 我々は先に、p97ATPaseによるゴルジ体形成に必須な脱Ub化酵素VCIP135に対して、活性化因子Wacを発見している。このVCIP135/Wac複合体に対する新規結合因子を探索している過程で、VCIP135に特異的に結合する新規因子(p40と仮に命名)を同定することに成功した。この因子は、VCIP135に結合するのみならず、p97にも結合し、VCIP135/p97複合体に結合すると考えられる。 p40のリコンビナント蛋白質を調整して抗原とし、p40にたいする抗体を作成した。この抗体を用いてp40の細胞内局在を調べたところゴルジ体と小胞体に加えて、ミトコンドリアにも存在していた。このp40の発現を培養細胞でsiRNA法にて抑制すると、蛍光顕微鏡でゴルジ体が縮小する表現型が認められた。念のため、actin繊維の染色をしてみると、p40発現抑制細胞では核周りのactin繊維が減少していた。逆にp40を培養細胞で過剰発現させると、ゴルジは核近傍に存在するものの散る傾向があった。さらにactin染色では、ストレスファイバーの形成とそれに共局在するp40が認められた。また、作成した抗p40抗体と可溶化したゴルジ体膜を用いて、免疫沈降を行った結果、p40結合蛋白質としてactinが単離されてきた。 以上の結果から、p97ATPaseによる膜融合と細胞骨格の形成が強く関係している可能性が示唆されてきた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究では、脱ユビキチン化酵素VCIP135に対する新規結合因子(p40と仮に命名)を同定することに成功した。このp40はゴルジ体の形成維持に働くのみならず、アクチン繊維の形成にも機能していることを示唆するデータが得られている。ゴルジ体におけるアクチン繊維の役割は全く不明であり、今後の展開が大きく期待される。
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Strategy for Future Research Activity |
現在、p40とVCIP135ならびにp97の結合領域の解析をしており、結合能を失った変異体を単離しようとしている。変異体が取れれば、それを用いてp40-VCIP135やp40-p97の結合の機能をin vivoで解析する。また、p40発現抑制細胞の電子顕微鏡観察をしていないので、それを早急に行う。 加えて、p40結合蛋白質を単離して、ゴルジ体や小胞体に局在する機能、actin繊維に対する機能等をさらに検討するつもりである。
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Causes of Carryover |
(理由)予想外の新規因子が単離できたので、そちらの方向にも研究を向けつつあるので。
(使用計画)昨年度に単離した新規因子p40の機能解析に用いる。in vitroとin vivoの両方から研究を進めているので、その試薬や消耗品に用いる。更に現在、このp40の新規結合蛋白質を探索しており、その抗体作成を行う。
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