2017 Fiscal Year Research-status Report
細胞内小胞による生殖細胞決定因子の局在化制御の分子機構の解明
Project/Area Number |
16K07374
|
Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
田中 翼 熊本大学, 発生医学研究所, 助教 (00392027)
|
Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
|
Keywords | 生殖細胞 / 生殖質 / 細胞極性 / エンドサイトーシス / 細胞骨格 / 卵黄タンパク |
Outline of Annual Research Achievements |
多くの動物において、生殖細胞の形成・分化は、生殖質とよばれる特殊な細胞質領域によって制御される。生殖質は、様々な母性RNAやタンパク質が局在化することにより形成される。私たちは、ショウジョウバエをモデル系として生殖質の形成機構を明らかにすることを目指している。私たちは以前に、エンドサイトーシスが微小管の配向性、およびアクチンの再編成の制御を介して、ショウジョウバエの生殖質の形成に必須の役割を担っていることを明らかにした。これに端を発した研究を展開させることにより、平成29年度までに、卵黄タンパク受容体のエンドサイトーシスが細胞骨格制御を介した極性形成・生殖質形成に極めて重要であることを見い出した。これは、卵黄タンパクの取り込みには、「胚発生に必要な栄養素の蓄積」という従来から知られている役割に加えて、「細胞極性と生殖質形成の制御」という新たな役割を持つことを初めて示すものである。 平成29年度は、細胞極性と生殖質形成の制御における卵黄タンパク受容体(Yolkless)のエンドサイトーシスの役割の詳細について、ショウジョウバエを用いた遺伝学的手法や分子生物学・細胞生物学の手法を駆使して解析を進めた。また、卵黄タンパク受容体のエンドサイトーシスによって生じる細胞内小胞(エンドソーム)の動態解析を進めるとともに、細胞内小胞による極性制御機構の普遍性・特異性を明確にするために、神経細胞を用いた解析も進めた。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
細胞極性と生殖質形成の制御における卵黄タンパク受容体(Yolkless)のエンドサイトーシスの役割の詳細について解析を進め、その成果を国際会議、ならびに国内学会にて発表を行った。その一方で、卵黄タンパク受容体のエンドサイトーシスによって生じる細胞内小胞(エンドソーム)の動態解析、および細胞内小胞による極性制御機構の普遍性・特異性を明確にするための神経細胞を用いた解析の進行が予定よりもやや遅れ気味である。
|
Strategy for Future Research Activity |
平成30年度は、細胞極性と生殖質形成の制御という卵黄タンパクの取り込みの新規かつ重要な役割に関して得られた成果を国際学術誌に公表する。また、卵黄タンパク受容体のエンドサイトーシスによって生じる細胞内小胞(エンドソーム)の動態解析、および細胞内小胞による極性制御機構の普遍性・特異性を明確にするための神経細胞を用いた解析を重点的に進める。
|