2016 Fiscal Year Research-status Report
シロイヌナズナのリン脂質生合成変異株の低温生育阻害に関する生理生化学的研究
Project/Area Number |
16K07392
|
Research Institution | Saitama University |
Principal Investigator |
西田 生郎 埼玉大学, 理工学研究科, 教授 (40189288)
|
Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
|
Keywords | COX活性 / AOP活性 / 低温生育阻害 / ホスファチジルエタノールアミン / pect1-4 / aox1a |
Outline of Annual Research Achievements |
(1)野生型、aox1a、pect1-4、およびpect1-4 aox1aを23℃、短日条件で2、3、4、5週間生育させ、さらに、8℃で30日間生育させ、成長を比較した。pect1-4変異株は、3週間目で葉が淡緑色化し、その徴候は4週間目で顕著となり、5週間目ではが早期老化(黄化)の徴候が見られた。野生型、aox1a、およびpect1-4 aox1aでは、成長に顕著な違いがなかった。8℃でさらに30日間生育させたところ、2週間目で低温処理したpect1-4では、約25% (n=8)が枯死し、残りは早期老化の徴候を示した。一方、3週間以上生育させたpect1-4個体では、枯死するものは無かったが、いずれも早期老化の徴候を示した。2週間目で低温処理したpect1-4 aox1aでは、38% (n=8)の個体が生育不全を示し、3週間目で低温処理した個体では早期老化の徴候はあったが、pect1-4に較べて生育が改善した。pect1-4では低温処理前の生育不全が低温での生育不全を増幅していると考えられる。低温処理したpect1-4 aox1aは、野生型やaox1aに較べて葉の黄緑色化が目立ち、ロゼットサイズがやや劣った。 (3)pect1-4 aox1a/AOX1a植物の自家受粉種子から、pect1-4 aox1aの分離比が理論値よりも著しく低いことを確認した。しかし、pect1-4 aox1a個体からは、より高い頻度で種子が回収できた。pect1-4/PECT1 aox1a個体からの分離比について今後調べる必要がある。 pect1-4変異は野生型に較べてCOX活性が40%低下するが、pect1-4 aox1a二重変異株のCOX活性は野生型レベルに回復していた。葉の緑化表現型、pect1-4 aox1a二重変異株の低分離比のいずれも、親植物体のCOX活性に依存する可能性がある。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
pect1-4を長期間生育させることにより、野生型との顕著な表現型の違いをあきらかにした。次年度に向けて、AOX1a過剰発現コンストラクトの作成を開始したほか、Blue Native Pageによる呼吸鎖タンパク質高次複合体組成の解析に向けた予備実験を開始した。
|
Strategy for Future Research Activity |
(1)AOX1a過剰発現植物を作成し、pect1-4と掛け合わせ、pect1-4表現型の相補を検証する。(2)Blue Native Pageにより、呼吸鎖タンパク質高次複合体組成の解析を行い、ミトコンドリアのPEレベルの低下がもたらす影響を解析する。 (3)pect1-4は多面的表現型を示すので、それそれの表現型に対して綿密な遺伝学的解析が必要である。さらに、ゲノム編集技術を用いてpect1-4変異株を作出し、表現型とのリンクを証明する実験が必要なると考えられる。
|
Causes of Carryover |
物品費および旅費の使用額の端数で1,882円が生じた。
|
Expenditure Plan for Carryover Budget |
金額は1,882円と少額なので、すべて次年度の物品費に繰り越して使用する予定である。
|
Research Products
(1 results)