2017 Fiscal Year Research-status Report
転写制御因子群による光合成装置形成のオン・オフ制御の分子メカニズムの解明
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16K07393
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
増田 建 東京大学, 大学院総合文化研究科, 教授 (00242305)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 葉緑体 / クロロフィル / 転写因子 / 核コード光合成関連遺伝子 / 共発現 |
Outline of Annual Research Achievements |
光合成関連遺伝子のプロモーター領域に対する転写因子の結合および転写調節機構の解析 光合成装置形成に関与する転写因子である、GARP型転写因子Golden-2 like(GLK)とGATA転写因子であるGNC/GNLについて、シロイヌナズナ切除根における葉緑体形成に及ぼす影響を昨年度に引き続き解析した。それぞれの過剰発現株(GLK1ox, GLK2ox, GNCox, GNLox)および二重変異体(glk1glk2, gncgnl)を用いて、切除根における葉緑体形成ならびに光合成遺伝子発現について解析を行った結果、多くの遺伝子は両方の転写因子に依存して発現することが明らからとなった。しかし、一部の光合成遺伝子はそれぞれの転写因子に対して特異的に応答することが認められた。以上のことから、2つのタイプの転写因子に共通した情報伝達経路と、それぞれの転写因子に特異的な経路の双方が存在することが明らかとなった。 さらにサイトカイニン処理を行った結果、GATA転写因子の過剰発現株で顕著な葉緑体形成が認められた。また核コードの光合成関連遺伝子の発現も有意に増加していた。一方、葉緑体コードの光合成遺伝子については、異なる応答が認められた。本結果から切除根におけるサイトカイニンに依存した光合成装置の形成には、GATA転写因子が主要な働きをすることが明らかとなった。 これらの光合成遺伝子のプロモーター領域におけるシス配列の解析、さらにChIP-chip解析結果を含めて、これら転写因子に対する応答機構について解析を進めている。さらに平成30年度にはRNAseqによるトランスクリプトーム解析を行う予定であり、引き続き解析を進めていく予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
プロモーター・レポーター系を導入した形質転換体の作製に時間が取られているが、他の実験結果により、有意な成果が得られており、総合的には順調に進展していると言える。
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Strategy for Future Research Activity |
研究計画に従って、研究を遂行する。
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Causes of Carryover |
来年度におけるRNAseqによるトランスクリプトーム解析のために多額の研究費を必要とするため、今年度は科研費の使用額を出来るだけ抑えることとした。
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Research Products
(6 results)