2016 Fiscal Year Research-status Report
葉緑体活性酸素種消去システムにおけるペルオキシレドキシンの役割
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16K07409
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Research Institution | Kyoto Sangyo University |
Principal Investigator |
本橋 健 京都産業大学, 総合生命科学部, 教授 (90301952)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 葉緑体 / 酸化ストレス |
Outline of Annual Research Achievements |
葉緑体は光合成による酸素発生に伴い、多くの活性酸素種(ROS)を生成する。そのため、抗酸化ストレスシステムとして、葉緑体はアスコルビン酸ペルオキシダーゼをはじめとして、複数のROS消去システムを備えている。このうち、ペルオキシレドキシンという一連のペルオキシダーゼの葉緑体ROS消去システムにおける生理的な役割は、明らかになっていない。本研究は、葉緑体ROS消去システムのうち、ペルオキシレドキシンについて、その機能欠失が植物体に与える影響を調べることで、葉緑体ROS消去系に対する寄与を明らかにする。 シロイヌナズナ葉緑体には3グループ4種類のPrxが存在し、機能重複しているため、これまでの個々の機能欠失変異体を用いた解析では、このファミリーのタンパク質が、葉緑体ROS消去系にどの程度寄与しているかを評価することができない。そこで、葉緑体に存在する複数のペルオキシレドキシンをひとつのファミリーとして機能解析し、ROS消去系での評価を行うことで、葉緑体ROS消去系システムにおけるペルオキシレドキシンの役割を明らかにする。 これまでの研究から、PrxのROS消去反応に必要な電子はすべてTrxから供給されることがわかっている。そこで、葉緑体の4つのPrxすべてに対して、ROS消去に必要な電子供給を断つことができる実験系を構築するため、Trx変異体の取得を試みた。葉緑体Trxは、葉緑体のレドックス制御で機能するf型、m型以外にx型、y型、z型のサブファミリーが存在し、このうち、x型とy型がROS消去システムであるPrxへ電子を供給すると考えられる。そこで、x型Trx、y型TrxのT-DNA変異体を用いることで、葉緑体Prxへ電子供給を遮断する。初年度は、これらの変異体を取得を目指して実験を進め、一部の変異体が取得できた。残りの変異体についても、順次取得を進めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
変異体の取得は進んでいるが、一部に取得できていない変異体があるため、それらの取得を優先して進める。
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Strategy for Future Research Activity |
現在取得できていない変異体を順次取得する。取得後には、計画に従い、各変異体の活性酸素種消去能などを比較検討することで、葉緑体ペルオキシレドキシンの生理機能、抗酸化ストレスシステムに対する寄与度を明らかにする。
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Causes of Carryover |
今年度購入したビーズ式破砕機が、当初想定していた機種と同等の性能を持っているにも関わらず、安価に購入できた。また、次年度には消耗品として物品費が多く必要であり、かつ、成果発表のための旅費、論文出版費などの費用も必要であるため、繰り越しを行う。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
抗体作成のために物品費として175万円、成果発表用の旅費として15万円、論文成果発表のために5万円、使用予定である。
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Research Products
(5 results)