2018 Fiscal Year Research-status Report
神経ペプチドの標的ニューロン可視化による神経修飾機構の解明
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16K07428
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Research Institution | St. Marianna University School of Medicine |
Principal Investigator |
赤染 康久 聖マリアンナ医科大学, 医学部, 講師 (50302807)
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Project Period (FY) |
2016-10-21 – 2020-03-31
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Keywords | GnRHニューロン / 微細構造 / 神経修飾 |
Outline of Annual Research Achievements |
一部の真骨魚類において、終神経(脳神経の一種)に存在するGnRH3ニューロンは行動の動機づけに関与することが示唆されている。一方、特定の神経ペプチドの脳内機能を理解する上で、ペプチドの放出の位置的な情報は不可欠である。メダカ終神経を構成するGnRH3ニューロンは終脳腹側部の細胞体から脳内に広範囲に軸索を投射するが、そのGnRHペプチド放出部位が、軸索終末であるか、軸索途上のバリコシティ(膨隆部)であるか、細胞体であるか、またはこれらのすべてであるかは、このニューロンの生理学的機能を知る上で必須の情報である。本計画ではGnRH3ニューロンにおけるペプチドの放出個所の特定を目的として、抗FMRFa抗体をもちいた免疫電子顕微鏡を実行し、適切な条件を検討した。従来の免疫電子顕微鏡観察の手法では生体膜の形態保存が不十分で、ことに中枢神経系では観察および結果の解釈に多大の困難を伴ってきたが、試料の固定条件をはじめとする試料作製手法の検討を通じ、おおむね満足すべき条件を見出すことができ、ニューロンとその分泌小胞の形態を良好に維持した状態で観察することができるようになった。現段階では特定のペプチドに対する抗体のみを用いての結果であるため、分泌小胞・分泌顆粒の形態しか観察できていないが、GFPなどのように、目的の細胞を標識できていれば細胞質全体を標識できる抗原を標的とすることにより、より強力かつ正確に対象となるニューロンの微細構造観察を可能にできないか、検討をすすめている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
試料作製条件の最適化にやや時間を要したため。
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Strategy for Future Research Activity |
メダカGnRH3ニューロンの細胞体および軸索途上におけるペプチドの放出状態、およびこのニューロンの線維走行を電子顕微鏡レベルで検討し、ペプチドによる神経修飾機構の理解を深める。
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Causes of Carryover |
(理由) 所属機関に既存の機器・試薬等を有効に活用して経済的に運用できたため。 (使用計画) 当該年度中に最適化した条件に従い、研究の進展・成果の拡大につとめる。
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