2017 Fiscal Year Research-status Report
ホヤから発見した新規ペプチド、Ci-YFV/Lの生物学的役割の解明
Project/Area Number |
16K07430
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Research Institution | Suntory Foundation for Life Sciences |
Principal Investigator |
佐竹 炎 公益財団法人サントリー生命科学財団, 生物有機科学研究所・統合生体分子機能研究部, 主幹研究員 (20280688)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | カタユウレイボヤ / 神経ペプチド / 受容体 / 卵巣 |
Outline of Annual Research Achievements |
29年度は、ペプチドの記述子をオリジナルに作製し、脊椎動物や昆虫のペプチドとGPCRを数値化して、独自に作製した機械学習モデル、PD-incorporated SVMを構築した。これに、当研究室で同定したホヤ特異的ペプチド25種とリガンドが不明なGPCR140種類を入力し、ペプチド-受容体ペアの予測を行った。その結果、29種類のペプチド‐受容体ペアの候補が導き出された。次に、この予測結果を実験的に実証するために、各GPCRをSf9細胞に導入し、細胞内カルシウム動員を指標としたレセプター結合実験を行ったところ、Ci-YFV1とCi-YFV-3にそれぞれ特異的に結合するGPCR、Ci-YFV-1-RとCi-YFV-3-Rを同定できた。これらの受容体は、Ci-YFV1とCi-YFV-3とnMベースのEC50で反応するのに対し、他のペプチドとは全く反応しなかった。 また、ペプチドとCi-YFV-1-RとCi-YFV-3-Rの分子進化を分子系統樹で解析したところ、これらの受容体はホヤで独自に進化したGPCR群であること、および、他の生物のペプチドのGPCRとは全く相関性を持っていないこと、強いて言えば、ヒトやショウジョウバエの機能不明のオーファンGPCRと緩い相関性を有していることが明らかになった。 Ci-YFV-1-RとCi-YFV-3-Rのホヤ体内における発現分布をRT-PCRで調べたところ、これらの受容体は中枢神経、消化管、入水口、および、卵巣で発現していることが明らかになった。現在、これらの受容体の卵巣における発現部位をin situ hybridizationで特定しつつある。発現部位を特定後、卵巣や卵胞にペプチドを投与し、トランスクリプトームを行い、変動する遺伝子群を同定し、これらのペプチドの生物学的役割を解明していく予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
これまで不明だったCi-YFV-1とCi-YFV-3の受容体を決定し、発現組織を計画通りに特定できたことで、Ci-YFV-1とCi-YFV-3の生物学的役割の解明に大きく前進した。
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Strategy for Future Research Activity |
卵巣のCi-YFV-1-RとCi-YFV-3-Rの発現部位を特定後、そこにCi-YFV-1とCi-YFV-3を投与して、変動する遺伝子群をRNA-seqで特定する。また、卵胞や卵巣の形態学的・発生生物学的変化を検出する。
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