2018 Fiscal Year Annual Research Report
Different agonistic strategies of male and female crayfish
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16K07432
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Research Institution | Yamagata University |
Principal Investigator |
長山 俊樹 山形大学, 理学部, 教授 (80218031)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | ザリガニ / 闘争行動 / 性別の認知 |
Outline of Annual Research Achievements |
最終年度は1)オスが相手の性別を化学的信号によって本当に識別しているのか、そしてもしそうならば、化学信号が含まれているはずの尿成分に雌雄・優劣・抱卵非抱卵メスの間に違いがあるのか、2)相手の社会的地位はパートナー選択にどのような意味を持っているのか、この2点に関し、行動及び化学解析を行った。1)オス並びに抱卵前および抱卵メスの尿をサンプリングし、その尿スペクトルの違いを核磁気共鳴装置(NMR)を用いて化学成分の比較分析を行った。オス・メスの尿中にそれぞれ特異的ピークが確認でき、また抱卵中のメスの尿にも他のオスや非抱卵メスには見られない独特のピークを観察できた。2)メスは配偶相手として強いオスを選択するのか、また勝者のオスは自分は強いとアピールする何らかの化学信号を放っているのか、行動解析より明らかにした。闘いに勝利した勝者のオス、闘争未経験のオス、及び闘いに敗れた敗者のオスとメスをペアリングして、交尾に至った割合を比較した。すると、優位オスとメスの間の交尾率は80%と高かったが、劣位オスとメス間の交尾率も65%以上と高く、両者の間には統計学的に有意な違いは見られなかった。つまりメスは勝者・敗者というオスザリガニの社会的地位には無頓着なことが判明した。このことは優位・劣位オスの尿をサンプリングし、その尿スペクトルの違いを核磁気共鳴装置(NMR)を用いて化学成分の比較分析を行っても、両者の成分の間に明確なパターンの違いが見られなかったことからも確認できる。実際に劣位オスを再び別のザリガニとペアリングした際、相手がオスだと、自ら相手に接近することはなく、ひたすら相手から遠ざかろうと後退行動を示すのに対し、相手がメスだと、積極的に自分の方からメスにアプローチし、多くの場合、交尾にまで至った。
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Research Products
(5 results)