2016 Fiscal Year Research-status Report
光遺伝学とイメージングによる単一ニューロンレベルでの遊泳運動神経回路の機能解明
Project/Area Number |
16K07433
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
堀江 健生 筑波大学, 生命環境系, 助教 (10455925)
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Project Period (FY) |
2016-10-21 – 2019-03-31
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Keywords | ホヤ / 遊泳運動 / 運動神経回路 / ニューロン / 光遺伝学 / 神経活動イメージング |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究はシンプルかつ操作可能であるホヤ幼生の中枢神経系をモデルとして、神経活動の高速ライブイメージングと光遺伝学的な手法を組み合わせることにより、遊泳運動を生み出す神経回路の動作原理を単一ニューロンレベルで解明することを目指している。 ホヤ幼生の遊泳運動神経回路は5対10個のコリン作動性ニューロンと2対4個のGABA/グリシン作動性ニューロンの合計14個のニューロンによって構成される。5対10個のコリン作動性ニューロンの一つ一つにおいて、Ca2+ 蛍光指示タンパク質GCaMPを発現させ、神経活動の高速ライブイメージングを行った。その結果、遊泳運動を行う際には、前方から後方へ興奮が伝達すること、また、5対のコリン作動性ニューロンのうち最も後方に位置するIslet発現細胞が非常に強く活動することを明らかにした。 遊泳運動におけるIslet発現細胞の機能を明らかにすることを目的として、Islet発現細胞においてNpHR発現させ、遊泳運動中の個体に光を照射することによりIslet発現細胞の機能を阻害する実験を行った。その結果、光照射によりIslet発現細胞の機能を阻害された個体は遊泳運動を完全に停止した。このことから、Islet発現細胞は遊泳運動において必須の役割をしていることが明らかとなった。 5対10個のコリン作動性ニューロンはそれぞれ異なる転写因子を発現しており、前方からそれぞれ、Dmbx,Vsx,Nk6,Pitx,Isletを発現する。コリン作動性ニューロンの前駆細胞において、FGFシグナル、Notchシグナル、Ephrinシグナルを阻害することにより特定の細胞だけを分化させることが出来る実験系の構築に成功した。今後は、このような分化運命を変換した個体において神経活動イメージングや光遺伝学的な解析など生理学的な実験を行うことを計画している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画に予定していた、「神経活動の高速ライブイメージング」と「光遺伝学的な手法を用いた個々の神経細胞の機能解析」は順調に進展している。また、「特定の神経細胞を欠損・置換した個体の作製」については、予想以上に進展をしており、今後は生理学的な解析を行う予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
当初の計画に予定していた、「神経活動の高速ライブイメージング」、「光遺伝学的な手法を用いた個々の神経細胞の機能解析」については順調に進展しており、今後は光刺激を行った個体において高速ライブイメージングを行う実験系の構築を行う予定である。「特定のニューロンが欠損または置換した個体の遊泳運動解析」については、特定の神経細胞を欠損・置換を行った個体の作製は進んでおり、次年度以降は得られた個体について、神経活動のイメージングや光遺伝学的な解析など生理学的な研究を推進していく予定である。
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Causes of Carryover |
採択決定が11月であったため、研究費を使用できる期間が通常に比べ短く研究費を予定通り執行することが困難であったため、やむを得ず次年度に繰り越しを行った。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
昨年度に執行することが出来なかった生理学的な実験や論文成果発表等についての予算は研究計画を見直し、次年度に実施するために使用する予定である。
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Research Products
(4 results)