2016 Fiscal Year Research-status Report
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16K07437
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
山下 高廣 京都大学, 理学研究科, 助教 (50378535)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 光受容蛋白質 / 視細胞 |
Outline of Annual Research Achievements |
光受容タンパク質オプシンはそのアミノ酸配列からいくつかのグループに分類できる。その中でもOpn5グループは脊椎動物が広くもつオプシンとして最後に見つかり、解析が遅れている。脊椎動物のOpn5は4つのサブタイプに分かれ、そのうちOpn5nサブタイプは可視光感受性であることがわかっている。さらに、Opn5サブタイプは哺乳類以外の脊椎動物の網膜の視細胞に発現することを見いだしている。そこで、視細胞に存在する視物質以外のオプシンの分子特性やそれが関わる生理機能を明らかにすることを目的とする。 1.メダカはOpn5n遺伝子を2つもつ。これらの発現部位の詳細について検討を行った。その結果、1つは桿体・錐体視細胞の両方に発現し、もう一方はいずれかの視細胞のみに発現することがわかった。 2.視細胞に広く発現するというユニークな発現パターンを示すOpn5nの関わる生理機能に迫るため、2つのOpn5n遺伝子を両方ノックアウトしたメダカを作製した。暗順応・明順応した網膜の形態を比較したところ、ダブルノックアウトでは光依存的に視細胞と網膜色素上皮との位置関係が変化する網膜運動現象に異常をきたしていることがわかった。詳細な解析では、特に暗順応した網膜で野生型と比べて視細胞の動きに影響がでていることがわかった。 3.遺伝子組換えメダカの行動解析を行うことを目的として、実験系の確立を行った。具体的には、周りで縞模様を回転させた時に自由遊泳のメダカが回転に追従して泳ぐoptomotor response (OMR) を1時間以上継続して観察できる系を確立した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
Opn5n遺伝子のダブルノックアウトで顕著な表現型が観察できたため、次年度以降に、シングルノックアウトの解析により2つのOpn5n遺伝子の機能分担・重複を詳細に解析できることになった。また、OMRの実験系を確立したことにより、次年度以降に遺伝子組換えメダカの解析を行いOpn5nの生理機能の解明が可能となった。
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Strategy for Future Research Activity |
1.Opn5nのシングルノックアウトメダカについて、網膜運動現象を解析する。そして、2つのOpn5n遺伝子の機能分担・重複を明らかにする。 2.確立したメダカの行動実験システムを用いて、Opn5ノックアウトメダカの解析を行う。 3.脊椎動物のOpn5は、その祖先型は紫外光感受性であり、その後の多様化の過程で可視光感受性のものができたと考えている。この分子進化プロセスをトレースするような変異体を作製し、上記の多様化モデルを検証する。
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Research Products
(8 results)