2018 Fiscal Year Research-status Report
緑藻の概日時計をリセットする未知の光受容伝達機構の解明
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16K07448
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
松尾 拓哉 名古屋大学, 遺伝子実験施設, 講師 (00452201)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 概日時計 / 光応答 |
Outline of Annual Research Achievements |
研究代表者は、緑藻クラミドモナスを概日時計研究の新しいモデル生物として確立し、研究を進めてきた。その過程で、時計タンパク質ROC15の分解が光で誘導されることを発見した(Niwa and Matsuo et al. Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 2013, 110:13666-71)。この現象は幅広い波長の光で誘導されるが、特に赤色光で強く誘導される。興味深いことに、このような波長特性を示す光受容体はクラミドモナスでは知られておらず、未知の光受容・伝達経路の存在が示唆された。研究代表者は、最近、この経路の解明の手がかりを得た。本研究では、それを発展させ、未知の光受容・伝達経路の全容解明を目指す。 今年度は、分離した新規変異体においてROC15の細胞内局在は変化しないが、光依存的リン酸化が起こらないことを明らかにした。また、既知の青色光受容体の変異体において、ROC15の光依存的分解が起こらないことを発見した。さらに興味深いことに、赤色光に対する分解も起こらなかった。それらに加えて、その変異体においては概日リズムの振幅の低下と周期の延長が起こることを明らかにした。これらの結果から、未知の光受容伝達経路の一端が明らかとなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
既知の青色光受容体の変異体において赤色光応答が失われるという予想していなかった結果が得られた。この結果は大変興味深く、さらに詳細な解析を行う必要がある。その解析に注力するため、当初予定していたROC15のリン酸化部位の決定は進めていない。
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Strategy for Future Research Activity |
既知の赤色光応答経路の分子であるCSLの変異体において、当該の青色光受容体の解析を行う。これにより、既知の青色光受容伝達機構とCSLの関わる赤色光伝達機構の関係を明らかにする。
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Causes of Carryover |
本研究で実施した変異体スクリーニングにより、緑藻特異的な遺伝子の関与が明らかとなった。また、既知の青色光受容体が赤色光応答にも関与するという興味深い結果を得た。これらは予想外であったので、補助事業の目的をより精緻に達成するための研究の実施が必要となり、研究期間の延長を申請した。これらの解析をより早く進めるために、当初予定していたROC15のリン酸化部位の同定を実施しなかったので、次年度使用額が生じた。これは上記の新発見の解析に当てる。
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