2017 Fiscal Year Research-status Report
ポリコームサイレンシングを制御する新規タンパク質複合体の解析
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16K07451
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Research Institution | Saga University |
Principal Investigator |
西岡 憲一 佐賀大学, 医学部, 講師 (80370120)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | Mbf1 / ポリコームサイレンシング |
Outline of Annual Research Achievements |
新規のポリコームサイレンシング制御因子を探索するというこれまでのさきがけ研究の延長として、本研究課題では同定した一部の遺伝子の機能解析を継続している。いくつかの興味ある遺伝子のうち、これまでSetd5及びMbf1について解析を進めてきた。Setd5については条件付ノックアウトマウスを作製して解析の準備を進めている。Mbf1についてはショウジョウバエでツールが揃っているので、これを用いて国立遺伝学研究所の広瀬進名誉教授との共同研究として解析を進めた。 今回、ショウジョウバエMbf1について、ポリコームサイレンシングを維持するための意外なメカニズムが明らかになった。Mbf1はこれまでストレス関連遺伝子を活性化する核内コアクチベーターとして知られていたが、主な局在である細胞質における機能は分かっていなかった。細胞質Mbf1はポリコームサイレンシングの中心的な役割を担うE(z) mRNAに結合し、これをRNA分解酵素であるPacmanの攻撃から守ることで、ポリコームサイレンシングの堅牢性を維持していたのである。他にもMbf1はストレス関連遺伝子mRNAに結合していることがわかり、ひとつのタンパク質が局在を変えて異なるメカニズムで類似の生物学的機能を示すことは大変興味深い。 一方で、Pacmanが絡む5'側のRNA分解制御メカニズムについてはこれまでほとんどわかっていなかった。もうすこし詳細な生化学的実験が必要であるが、当該制御メカニズムについて新たな知見が得られたこととなる。また、本論文の報告をもって遺伝子スクリーニング方法の妥当性を証明できたことも特筆すべき点であろう。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
当初はSetd5についての解析を中心に据えていたが、Mbf1の意外性に気が付き、論文を発表するところまでこぎつけられた。
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Strategy for Future Research Activity |
やや難航するも、Setd5についても解析を進める。
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Causes of Carryover |
試薬使用量の調整を行い、1キット分ほどの節約ができた。
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Research Products
(2 results)