2019 Fiscal Year Annual Research Report
Inferring cell differentiation process based on phylogenetic analysis of histone modifications of human cells
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16K07458
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
小柳 香奈子 北海道大学, 情報科学研究院, 准教授 (20362840)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 系統解析 / 細胞分化 / エピジェネティクス / ヒストン修飾 / 細胞系譜 / 祖先推定 |
Outline of Annual Research Achievements |
ヒトの8種類の血球系細胞(赤芽球、巨核球、好酸球、好中球、単球、NK細胞、T細胞、B細胞)の6種類のヒストン修飾(H3K4me1, H3K4me3, H3K9me3, H3K27ac, H3K27me3, H3K36me3)の系統解析に基づく祖先状態推定から、これらの修飾のゲノムワイドな血球系細胞分化過程における変遷過程の推定を行った。具体的には、既知の細胞系譜の樹形を仮定し、最節約法により祖先節の修飾の状態(ON/OFF)推定を行った。その結果、以下のことが明らかとなった。 ・推定されたヒストン修飾の変化と遺伝子位置との関係をみると、各ヒストン修飾に特徴的なゲノム上の位置(転写開始点、エンハンサー領域など)に、細胞分化に伴う修飾の変遷が推定された。 ・推定されたヒストン修飾と遺伝子機能との関係をみると、各種血球系細胞の分化に重要な遺伝子群に、関連するヒストン修飾の変遷が推定された。例えば巨核球への分化過程におけるH3K4me3の変化は、血小板活性化と関連する遺伝子群に多くみられた。 以上のことから、本手法により、細胞分化に関連したヒストン修飾の変遷過程が推定されていることが示唆された。またこの手法を通じて、血球細胞分化の各過程における6種類のヒストン修飾について、変化が推定された遺伝子がリストアップされた。これらの中には血球細胞分化に関わることが未知の遺伝子も含まれ、分化と関連する候補遺伝子であることが期待された。以上の結果をまとめ論文を出版した。
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