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2016 Fiscal Year Research-status Report

国際連携に基づく新生代放散虫属の分類標準化

Research Project

Project/Area Number 16K07475
Research InstitutionTohoku University

Principal Investigator

鈴木 紀毅  東北大学, 理学研究科, 助教 (60312542)

Project Period (FY) 2016-04-01 – 2019-03-31
Keywords分類 / 微古生物学 / 放散虫 / 新生代
Outline of Annual Research Achievements

2016年4月からエーレンベルク・ヘッケル計画時に提供されたタイプ標本産出試料について再検討を行った.この結果を含めて,種・属レベルの多様性について6月に福井で学会発表した.これにより検討対象の全ての属・種を網羅するリストが完成した.
新規に入手したバルバドスの陸上試料から保存のよい標本を厳選し,本科研費で購入したノマルスキー型微分干渉装置を用いて,不足している形態情報をおぎった.この装置に使う対物レンズの性能向上を図った結果,これまで見えないと思われていたTetrapyle類の内部構造を識別することに成功したので,この方法を取り入れて新生代の属の識別に問題が大きかったPylonioidea超科の分類を種レベルから解決し,結果を投稿中である.
豊潮丸や瀬底で採集した対象標本を調査し,共生藻類の有無をからめて新生代属で必要な情報の補強を行った.北太平洋30地点から2100標本328種の共生藻の有無を蛍光顕微鏡で検証し,これまで予想されていた属や科で共生藻類の有無がわかれるという仮説を否定する結果がた得られた.これは現在投稿中である..
2016年11月にフランス・パリで属名標準化事業の検討会を開き,検討対象1640属のうち1100属の分類的ステータスを議論し,270属が実在する分類群と判定した.いままで難渋していた,分子系統を積極的の取り入れについて,初めて合意できた.完全に未検討な新生代属は500属となり,次年度の具体的計画を策定して本検討会を終了とした.この成果を2017年1月に開かれた古生物学会で発表し,参加者から残された課題について意見を得た.

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

1: Research has progressed more than it was originally planned.

Reason

2016年3月(申請前)以前までに検討を終えていたエーレンベルク・コレクションはスライドの状態が悪くて新資料の検討が必要だった.本科研費の支援を受け,将来のために提供されていた5g程度の原試料の検討を再開することが出来,不明だった点が明確になったことは予定通りであった.しかし,当初予定していなかったバルバドスの陸上岩石試料がもたらされたことで,大量の個体を検討できることになり,エーレンベルクの結果を大きく補強できたことは大きな成果であった.ノマルスキー型微分干渉装置は十分な活用が予定どおり出来ているが,性能の最大限活用には顕微鏡スライドの封入剤に改良が課題となった.
本科研費でもっとも重視しているのは,新生代属の標準化のために国際的合意をえる作業である.日程的に数日しか議論できなかったが,見積の1.5倍以上の数の属について合意にこぎ着けた.メンバーのなかで分子系統と形態分類体系の違いで鋭い対立が10年間ほど続いていたのだが,丁寧な議論によって,その対立が完全に解消された.この解消は大きく,計画以上の進展の一つとして大きな成果である.
新生代の属の標準化で,Pylonioidea超科は大事な構造が観察出来ないという大きな問題を抱えていた.消極的解決の方向であったが,ノマルスキー型微分干渉装置の性能にあった対物レンズの使い方を高度化することで,突破口が見いだすことが出来た.この超科の網羅的検討によって,この超科の20属35種について区分方法を編み出すことが出来た.この成果は当初計画では想定していなかった重要な成果である.共生藻類の有無が属や科レベルに対応するという仮説があり,この考えは属の標準化では気になるところであった.当初計画を大きく発展させ,世界で初めて共生藻類の有無リストを作成した.
以上,当初計画以上の成果を得られた.

Strategy for Future Research Activity

今年度の大きな目標は,未検討の属を消化することである.そのあと「2巡目」とよばれる確定作業を最初からやることになっているので,それにこぎ着けたい.その「2巡目」では科群の整理も含まれている.既存の科群は800科とも1600科(新生代属数より多い)とも言われてはっきりしていないので,「2巡目」の資料として網羅的整理を行いたい.
本科研費でもっとも重視しているのは,新生代属の標準化のために国際的合意をえる作業だが,75歳以上のメンバーの2名が2016年度までにともに心臓手術をしていることを現地で知らされた.残り500属の合意作業を一刻も早く進めたい.2017年10月下旬に新潟で放散虫関連の国際会議InterRad XV 2017 in Niigataが開催されるのだが,この2名は飛行機移動に不安を覚えるとのことので,日本での作業は不可能であることを確かめた.
平成29年度の研究実施計画にあるものうち,「微小形態構造による属・科の系統推定」を進めたい.そのために必要な封入剤の改良を協力者と工夫をしていきたい.
InterRad XV 2017 in Niigataは80名を超える参加が見込まれている.多くの専門家から直接の意見を得られる絶好の機会になるので,できるだけ属の標準化の作業を分かりやすく整理したい.
適格な属リストが完成した後には,新生代の全種リストの整理(生データは整理済)し,属への再振り分けが計画されている.問題を抱える種は数多いので,出来るだけ情報を収集していきたい.

  • Research Products

    (6 results)

All 2017 2016 Other

All Int'l Joint Research (3 results) Presentation (3 results)

  • [Int'l Joint Research] 南海海洋研究所(中国)

    • Country Name
      CHINA
    • Counterpart Institution
      南海海洋研究所
  • [Int'l Joint Research] カディス大学(スペイン)

    • Country Name
      SPAIN
    • Counterpart Institution
      カディス大学
  • [Int'l Joint Research] ロザンヌ大学(スイス)

    • Country Name
      SWITZERLAND
    • Counterpart Institution
      ロザンヌ大学
  • [Presentation] 新生代放散虫の属名の標準化事業の進展(2016年)2017

    • Author(s)
      鈴木紀毅・標準化作業WG参加者一同
    • Organizer
      日本古生物学会第166回例会
    • Place of Presentation
      早稲田大学
    • Year and Date
      2017-01-27 – 2017-01-29
  • [Presentation] ポリキスティン放散虫の属・種多様性2016

    • Author(s)
      鈴木紀毅
    • Organizer
      日本古生物学会2016年年会
    • Place of Presentation
      福井県立大学
    • Year and Date
      2016-06-24 – 2016-06-26
  • [Presentation] Radiolarian studies in the South China Sea2016

    • Author(s)
      Lanlan Zhang and Noritoshi Suzuki
    • Organizer
      日本古生物学会2016年年会
    • Place of Presentation
      福井県立大学
    • Year and Date
      2016-06-24 – 2016-06-26

URL: 

Published: 2018-01-16  

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