2018 Fiscal Year Annual Research Report
Reconstruction of the evolution and diversification in ascidian-cyanobacterial symbiosis
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16K07483
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Research Institution | University of the Ryukyus |
Principal Investigator |
広瀬 裕一 琉球大学, 理学部, 教授 (30241772)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
広瀬 慎美子 東海大学, 海洋学部, 特任准教授 (10398307)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | ホヤ / 分子系統 / 光共生 / 藍藻 / 進化 / 多様性 |
Outline of Annual Research Achievements |
藻類との絶対的な共生関係は様々な後生動物で知られ、脊索動物門では群体性ホヤのジデムニ科の一部で藍藻との絶対共生が知られている。ホヤにおける藍藻共生はジデムニ科の4属にまたがり、少なくとも属ごとに独立に藍藻との共生成立が生じたと考えられているが、ジデムニ科の科内の系統関係は十分にわかっていない。一方で、共生藍藻を次世代に継承する垂直伝播機構は主にホヤ群体内の藍藻分布様式に依存しており、異なる属でも同様の垂直伝播機構が見られる。本研究ではprimerの改良を進めながら、宿主ホヤのミトコンドリアのCOI遺伝子Folmer領域の配列決定を進めた。分子系統に基づく宿主ホヤの系統関係から、ホヤと藍藻の共生システムの進化・多様化プロセスを検討した。 現時点で共生種を含む全4属を含む6属をカバーした系統樹が得られており、このうちLissoclinum属とTrididemnum属内では藍藻分布様式や共生藍藻の異なる種が含まれている。 本系統樹ではDiplosoma属や藍藻共生性Lissoclinum属の単系統性が支持されたが、Trididemnum属は多系統で藍藻共生種だけでも4つのクレードに別れた。 ジデムニ科内で藍藻共生が独立に複数回成立したことが支持された。異なる属やクレード間で共生藍藻の分布・垂直伝播様式が同じ種があるので、ジデムニ科内で同様な共生様式が複数回収斂的に進化したと考えられる。同一クレード内でも複数の様式が認められ、クレード内でも異なる様式の共生が独立に成立した可能性がある。同一クレード内で異なる藍藻種と共生する種もあることから、進化の過程で共生藍藻種の入れ替わりが生じた可能性が示唆された。また、共生系の維持機構の一つである紫外線防御について、紫外線顕微鏡の観察から宿主ホヤの細胞が紫外線吸収を担っていることがわかった。
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