2017 Fiscal Year Research-status Report
アジア大陸東縁部列島弧における植物の分布と分化の特異性を探る
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16K07488
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Research Institution | University of Hyogo |
Principal Investigator |
秋山 弘之 兵庫県立大学, 自然・環境科学研究所, 准教授 (70211696)
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Project Period (FY) |
2016-10-21 – 2019-03-31
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Keywords | 蘚類 / コモチイトゴケ科 / ジャゴケ科 / 苔類 / 分布 / 分類 |
Outline of Annual Research Achievements |
当該研究機関において,以下の様な研究活動を行った. 1.日本国内のおけるジャゴケConocephalum conicum(苔類,ジャゴケ科)の分布と分化:国内にはこれまで3種の隠蔽種(C. conicum typeJ,C. conicum type F,C. salebrosum)が分布することが知られていたが,新たにC. conicum typeRの存在を確認した.これはtrans-Metyle-cinnamonateを揮発成分として多量に含み,そのため強いマツタケ臭をもっていることが大きな特徴である.これら4種について,国内での分布,形態の違いを精査するとともに,遺伝的マーカ(rbcL, psbA-trnH)を用いて,変異性と地域性についてデータを収集している. 2.ヤクシマコモチイトゴケ属Yakushimabryum(コモチイトゴケ科)およびその近縁属について,形態および葉緑体DNA塩基配列情報(rbcL, rps4, trnL-H)を用い,系統関係を解明するとともに,コモチイトゴケ科とナガハシゴケ科の関係を明らかにした.その結果,コモチイトゴケ科とナガハシゴケ科は3つのクレードから成り立つこと,つまり狭義コモチイトゴケ科,狭義ナガハシゴケ科+モリクサゴケ亜科Heterophyllioideae,そしてミスジヤバネゴケ属の3つの系統群が認められる.これを反映して,新属Orientobryum属を記載した.この結果についてはすでに論文として出版されている.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
申請時の研究計画に比較した場合,おおむね予定通りの進行し,当初予定して成果を上げることが出来ているため.
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Strategy for Future Research Activity |
最終年度にあたる今年度は,研究の主なターゲットをジャゴケに絞り込んで研究ならびに野外調査を実施する.
それとともに,これまでに成果を得られたGammiella属(蘚類)の系統解析について論文として投稿することを予定している.
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Causes of Carryover |
採択一年目が10月途中での中途採択となり,そのことが主な原因で当初予定通りの研究計画の実行ならびにそれに伴う支出が行えず,それが二年目になっても影響が残ったため.
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Research Products
(4 results)