2017 Fiscal Year Research-status Report
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16K07489
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| Research Institution | Prefectural University of Kumamoto |
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Principal Investigator |
一宮 睦雄 熊本県立大学, 環境共生学部, 准教授 (30601918)
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| Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐藤 晋也 福井県立大学, 海洋生物資源学部, 講師 (80709163)
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| Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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| Keywords | パルマ藻 / 培養株 / 系統解析 / ピコ真核藻類 / 珪藻 |
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| Outline of Annual Research Achievements |
[パルマ藻系統樹の作成] 昨年度までの解析によって、シリカの殻を持つTriparma属（有殻種）と無殻鞭毛藻である旧Bolidomonas属（無殻種）が単系統となることから、有殻種と無殻種を含むTriparma属に統合された。今年度は新たに分離された有殻種のTriparma retinervisを加えて系統解析を行った結果、Triparma属は有殻種と無殻種がそれぞれ姉妹群を形成することが明らかとなった。さらにTetraparma catiniferaの系統解析を行った結果、T. catiniferaはTriparma属とは異なるクレードに位置することが明らかとなった。
高精度系統解析を行うため、昨年度にゲノム抽出を行ったTriparma属4株およびTetraparma属2株のRNA-Seq解析により網羅的に配列情報を取得し、ゲノム系統解析を進めた。さらに、昨年度分離されたTriparma columacea、T. retinervisおよびT. catiniferaの大量培養を継続、またはゲノム抽出を行った。
[パルマ藻分類体系の再構築]北海道周辺海域のパルマ藻群集の分布調査を行った。パルマ藻は寒流である親潮、沿岸親潮および東樺太海流が影響する海域に多いことが明らかとなった。
同種内での形態の変異を明らかにするため、複数の分離株を取得したTriparma laevis f. inornata、Triparma laevis f. longispina、Triparma retinervisおよびTriparma strigataのSEM観察を行い、形態データを取得した。今年度、Triparma verrucosa 1株、Tetraparma gracilis 1株、Tetraparma pelagica 1株およびT. catinifera 3株を新たに取得した。
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| Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究では、パルマ藻分離株を用いてパルマ藻系統樹を作成するとともに、外部形態や微細構造からパルマ藻の分類体系を再構築することによって、パルマ藻の分類学的位置の確立を目指している。
本年度は新たに2種の分離株を用いて系統解析を行った結果、Triparma属の有殻種と無殻種がそれぞれ姉妹群を形成すること、Tetraparma catiniferaがTriparma属とは異なるクレードに位置することが明らかとなった。また、Triparma属4株およびTetraparma属2株についてゲノム系統解析を進めている。このことは、パルマ藻系統樹を作成する上で大きな前進であった。
昨年度のパルマ藻分布調査によって効率的に分離株作成が可能となり、今年度は新たに6株の分離株の取得に成功した。結果として保有する分離株はTriparma属がT. columacea 1株、T. laevis f. inornata 7株、T. laevis f. longispina 4株、T. retinervis 2株およびT. strigata 5株となり、Tetraparma属がT. catinifera 4株、T. gracilis 2株およびT. pelagica 2株となり、北太平洋に分布するほとんどの種の複数株を取得することができた。
今年度得られた研究成果により、国内学会1回、国際学会2回の学会発表を行った。パルマ藻に関する総説を藻類に発表するとともに、北海道周辺のパルマ藻群集の分布に関する研究を論文化してPolar Scienceに投稿した。以上のことから、本研究は順調に進展していると判断できる。
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| Strategy for Future Research Activity |
[パルマ藻系統樹の作成] 次年度は、引き続きTriparma属1種およびTetraparma属1種の大量培養を行い、DNAおよびRNAの抽出を行う。最終的にTriparma属5種およびTetraparma属3種の網羅的配列情報に基づく高精度系統解析を行い、パルマ藻系統樹の作成を目指す。また、各種の全ゲノム情報からパルマ藻におけるゲノム構造進化も併せて着目することで、パルマ藻における系統進化の過程をより包括的に推定する。さらに、Tetraparma属の培養株を用いてTEM観察を行うことにより、Tetraparma属における細胞内微細構造の特徴およびTriparma属との違いを明らかにする。
[パルマ藻分類体系の再構築]新たに複数株取得に成功したT. verucosa、T. catinifera、T. gracilisおよびT. pacificaについて、SEM観察によって形態データを取得する。T. laevis f. inornataはケイ素欠乏培地中で殻を失い、ケイ素を添加すると殻を再形成することが知られている。新たに分離された種についても同様の実験を行い、形態の変異およびそれらの可逆性を明らかにする。上述のデータを統合し、パルマ藻分類体系の検証を行う。
昨年度に取得した新たな成果を25th International Diatom SymposiumおよびThe North Pacific Marine Science OrganizationのAnnual meeting等で発表する。今年度の成果を論文化してPhycological Researchに投稿するとともに、現在投稿中の論文の受理を目指す。
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| Causes of Carryover |
（理由）今年度は親潮域およびオホーツク海調査に同行し、パルマ藻分離株取得用の海水サンプルを採取する予定であった。北海道区および東北区水産研究所の連携研究者の協力によって必要なサンプルを入手することができたため、予定していた国内旅費が不要となった。
（使用計画）顕著な研究の進展があったため、2018年6月にドイツで行われる25th International Diatom Symposium国際珪藻学会に出席・発表を行い、外国旅費として使用する。
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[Presentation] Biology of a picoeukaryotic phytoplankton, Parmales(Bolidophyceae), a sister group of diatoms.2017
Author(s)
Akira Kuwata, Mutsuo Ichinomiya, Shinya Yoshikawa, Kazumasa Yamada, Masanobu Kawachi, Mary-Hélène Noël,Kenji Saitoh, Yoji Nakamura, Naoki Sato, Naoyuki Tajima, Ken Sawada, Adriana Lopes dos Santos, Daniel Vaulot
Organizer
International Conference “Molecular Life of Diatoms”
Int'l Joint Research
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