2016 Fiscal Year Research-status Report
多数の藻類を細胞内共生させる原生動物における共生形態の多様性と進化に関する研究
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16K07491
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Research Institution | Nagahama Institute of Bio-Science and Technology |
Principal Investigator |
保科 亮 長浜バイオ大学, バイオサイエンス学部, 助手 (40373089)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小倉 淳 長浜バイオ大学, バイオサイエンス学部, 准教授 (60465929)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 細胞内共生 / ゲノム進化 / 盗葉緑体 |
Outline of Annual Research Achievements |
共生藻を保有する原生動物 (以下MARP) における、保有共生藻の多様性と、共生レベルの推定をおこなった。具体的には、琵琶湖の定点採集地に出現するMARP保有の共生藻DNAを決定し、昨年までのデータと比較、数種のMARPでは完全に同一のシークエンスが得られたことから、それらの共生状態が、すでに半永久的なものであると決定づけた。また、あるMARP共生藻の単藻培養に成功しており、国立環境研究所に供託、現在、新種新属として記載する論文を投稿中である。 Chlorella vulgaris (自由生活種) とミドリゾウリムシ共生藻C. variabilis (隷属的共生種)の比較ゲノム解析に関しては、すでに終了しており、現在、論文の執筆段階に入っている。大きな特色としては、共生種の天敵として知られるクロロウィルスのゲノムの一部が、自由生活種のゲノム内に水平伝播していることがわかり、これが自由生活への鍵になるのではないかと考えている。 細胞内共生と類似の現象に盗葉緑体がある。これは、従属栄養生物が外部から取り込んだ藻類を半分消化し、藻類の持っていた葉緑体のみを消化せずに細胞内に溜めおく現象で、数日から数か月間葉緑体の光合成機能も含めて維持する現象である。琵琶湖での定点調査において、盗葉緑体をおこなっている繊毛虫「(仮)茶ヒョロ」を発見した。解析を進めていくと、珪藻の葉緑体であることが分かったが、これらがどのような経緯で取り込まれているのか、今後の新たな課題となる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
予定していた島嶼・湿原のサンプリングに行くことができず、解析をおこなえていない。
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Strategy for Future Research Activity |
自由生活および隷属的共生種の間にみられたゲノム特性の相違が、一般化できるのかどうかを探るため、生態的にほぼ同様の状況にあるMicractinium spp. (自由生活種)とM. reisseri (ミドリゾウリムシの隷属的共生種)の比較ゲノムをおこなう。 茶ヒョロがどのような経緯で葉緑体を獲得し、また葉緑体の維持期間、機能の維持について、詳しい解析をおこなっていく。 島嶼・湿原へのサンプリングと、MARP多様性解析をおこなう。
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Causes of Carryover |
予定していた島嶼・湿原へのサンプリングに行けなかったこと、また、英国の株保存施設、CCAPに発注していた藻類株の到着が大幅に遅れ、それに伴うゲノム解析の費用が次年度に繰り越されたため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
CCAP購入株のゲノム解析、島嶼・湿原へのサンプリング、また、二つの国際学会への参加を予定している。
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Research Products
(6 results)