2018 Fiscal Year Annual Research Report
Relationship between seed dispersal pattern and characteristics of seedling regeneration in dipterocarp trees
Project/Area Number |
16K07513
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
中川 弥智子 名古屋大学, 生命農学研究科, 准教授 (70447837)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 種子散布 / 実生更新 / フタバガキ科 |
Outline of Annual Research Achievements |
フタバガキ科の種子散布パターンは種によって大きく異なることが予想される。他方で、実生初期段階の定着制限要因としては、光・土壌などの非生物的要因に加えて、同種や近縁種の密度、食害といった生物的要因、および遺伝的要因が考えられる。そこで、大きな翼の枚数が異なるフタバガキ科3種を対象に、定着直後の実生をランダムに選定し、葉もしくは子葉と翼の一部を採集した。また調査地内を踏査し、親木候補木の位置とサイズを記録し、内樹皮を採取した(一部、既存データと抽出済DNA使用)。また、実生の生育環境として、土壌水分、光環境、および当年生実生の密度を測定・計数した。実生は半年~1年間隔で再調査し、その生残と成長を追跡した。遺伝実験では、改変CTAB法を用いてDNAを抽出し、遺伝子型を決定した。なお、翼からのDNA抽出はうまくいかなかったため、両親解析により種子散布距離を推定した。また、1種の遺伝解析は未完了のため、2種のデータをまとめた。 両親が推定できた実生はD. globosusで161個体、S. beccarianaで239個体であった。D. globosusの平均種子散布距離は203.8mで、100~150mの距離が最も多い一山型だったが、200~450mの範囲でも5 %程度の頻度を有し、中距離散布が比較的起こっていた。S. beccarianaの平均種子散布距離は152.2mで、96.7%が300m以内の散布となり、大きな翼の枚数が多いS. beccariana で種子散布距離が長い結果とはならなかった。両種とも初期サイズが大きい実生ほど生き残りやすく、S. beccarianaでは実生定着過程での食害者に対する飽食効果が示唆されたが、種子散布距離の生残に対する効果は検出されなかった。実生の樹高と肥大成長でも、種子散布距離や光環境、土壌水分の効果は認められなかった。
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Research Products
(7 results)