2018 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
16K07531
|
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
市野 進一郎 京都大学, アフリカ地域研究資料センター, 研究員 (30402754)
|
Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2020-03-31
|
Keywords | 老化 / 霊長類 / 繁殖成功 / 進化 / 生活史 / キツネザル / マダガスカル |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、マダガスカル島に生息する野生ワオキツネザルのメスの生涯繁殖成功の決定要因を明らかにするために、識別した個体を生涯にわたり追跡することで得られた個体別繁殖データと社会行動データを合わせて分析している。2018年度は、まず、前年度に引き続き、老齢個体の行動観察(合計4ヶ月半)データの分析をおこなった。その結果、老齢メスとそれ以外のオトナメスの間で社会行動の頻度や時間割合に有意な差がないことが明らかになった。これは老齢個体が社会活動性を低下させるという予測を否定する結果で、類人猿やマカク類で報告された老化過程と異なっていた。この成果については、日本霊長類学会第34回大会、日本動物行動学会第37回大会、マダガスカル研究懇談会第23回懇談会において発表した。次に、研究協力者2名が現地調査をおこない(5月~6月:Seex、10月~12月:前畑)、人口学データを収集した。2018年の出産率は82.4%(12月までの暫定値)で、前年(67.7%)と比較し、高かった。また、調査個体群で最高齢のメス(22歳)の出産を記録した。これは野生個体群における最年長出産の記録である。この結果は、ワオキツネザルのメスは生涯にわたって繁殖可能で、繁殖の有無は環境条件に左右されることを示唆している。最後に、ドイツ霊長類センターとの国際共同研究によるモデル解析も進展した。2018年度は事情により、予定していたドイツ渡航ができなかったため、分析に用いる説明変数の検討とそれにもとづくデータセット作成を進めた。2018年度の現地調査によって得られた新たなメスの追い出し事例、出産データ、降水量データもデータセットに追加した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
2018年度に計画していたドイツ渡航が、共同研究者との日程調整がつかず、延期になった。そのため、2018年度に実施する計画であったモデル解析について遅れが生じた。その一方で、長期人口学データの蓄積および行動観察データの分析は順調に進んでいる。
|
Strategy for Future Research Activity |
予定していたドイツ渡航が延期になったので、補助事業期間の1年間延長を申請し、承認を得た。この修正した計画にもとづき、2019年度にはドイツに渡航し、国際共同研究によるモデル解析を実施する。
|
Causes of Carryover |
2018年度に計画していたドイツ渡航が事情により延期となったので、大幅に渡航計画を変更し、2019年度の渡航費用に充てるようにしたため。すでに補助事業期間の1年間延長を申請し、承認済である。
|
Research Products
(5 results)