2016 Fiscal Year Research-status Report
ダイズのクロロフィル蓄積変異体における分子遺伝学的および生化学的な特徴付け
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16K07550
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
山田 哲也 北海道大学, 農学研究院, 講師 (70374618)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | ダイズ / クロロフィル / 変異体 / 集光性タンパク質 |
Outline of Annual Research Achievements |
ダイズにおけるstay-green変異には、二対の劣性遺伝子d1d2により支配される核型と細胞質因子CytGにより支配される細胞質型、加えて種皮特異的 にChlの蓄積が認められるG因子の存在が報告されている。また、核型と細胞質型stay-green変異体では種子におけるChl組成(Chl a/b比)に違いがあることが分かっている。これらstay-green変異体の解析は、ダイズ種子におけるChl代謝の知見の獲得および高Chl含有の青ダイズの育成につながることが期待される。本研究ではこれらのstay-green変異体ダイズを用いて、生化学的および生理学的側面からダイズにおけるstay-green変異の特性評価を行った。 核型と細胞質型stay-green変異体ダイズの子葉と種皮におけるChlの定量解析の結果、両変異体共に同一種子中において子葉と種皮の間に大きなChl a/b比の差が存在した。また、子葉のChl a/b比について、核型と細胞質型stay-green変異体ダイズを比較したところ、大きな差が存在する一方、種皮においては同様のChl a/b比を示した。そこで、ウエスタンブロット解析を用いて、これらの変異体の子葉における集光性タンパク質を検出したところ、核型stay-green変異体ダイズにおいてのみ、完熟種子においてLHCⅠが検出された。このことから、核型と細胞質型stay-green変異体の子葉におけるChl組成の違いはLHCⅠの分解抑制の有無によるものであると考えられた。また、種皮緑品種系統ダイズの種皮におけるChlの定量解析の結果、核型および細胞質型stay-green変異体ダイズの種皮と同様のChl a/b比を示した。これらのことから、Chlの生合成およびその分解機序が種皮と子葉の間で大きく異なる可能性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ダイズの主要なsta-green変異体においてクロロフィルの蓄積様式において生理学的な特徴づけを行うことができた。特に、集光性タンパク質の蓄積様式が異なることでタンパク質複合体に含有するクロロフィル組成に大きな違いもたらすことが明らかになってきた。特に、核型stay-green変異体ではクロロフィルaの方がクロロフィルbに比べ、選択的に保持させることが明らかになった。一方、同じ核型stay-green形質のものでも遺伝資源によってクロロフィル組成に違いがあることも明らかになった。
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Strategy for Future Research Activity |
本解析を進める中で核型stay-green変異体と黄ダイズの交雑分離集団においてstay-green形質をもたらす新規の遺伝子の存在が明らかになった。新規のstay-green形質は種皮にのみクロロフィルを蓄積させる特徴を持っていた。そこで、本遺伝子をGsc1遺伝子と名付け交雑分離集団を用い当該遺伝子のマッピングを進めている。今後は、解析集団の規模を拡大し、ファインマッピングを行い新規遺伝子の同定を試みる。
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Research Products
(1 results)