2017 Fiscal Year Research-status Report
ダイズのクロロフィル蓄積変異体における分子遺伝学的および生化学的な特徴付け
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16K07550
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
山田 哲也 北海道大学, 農学研究院, 講師 (70374618)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | ダイズ / クロロフィル / 種皮 / stay-green / アグロバクテリウム / 形質転換 |
Outline of Annual Research Achievements |
ダイズのstay-green形質を理解するため,種皮のみが緑色を呈する系統を用いその遺伝因子の単離を試みた。具体的には種皮緑色形質に係る遺伝因子のファインマッピングを交雑分離集団(109のF2個体および1,615のF3個体)を用いて行った。その結果,責任遺伝子の座乗域を37 kbpにまで狭小化することに成功した。ダイズゲノムデータベースから当該領域には6つの遺伝子が座乗することが明らかになっていた。そこで,種皮が緑色もしくは無色となるNILを用い,これら6つの遺伝子について発現解析を行った。その結果,いずれの遺伝子においてもNIL間で発現レベルに差異は認められなかった。そこで,これらの遺伝子について配列を解析を行ったところ,一つの遺伝子にのみNIL間で塩基置換を確認した。さらに,NILにおいて種皮組織からRNAを抽出し,本遺伝子のcDNAを作製し配列を確認したところ,この塩基置換によってスプライシングのパターンが変化しその結果,コードされるアミノ酸配列が異なることが明らかとなった。このことから,種皮緑形質に関する責任遺伝子は当該遺伝子あると結論付けた。 さらに,本遺伝子の機能を確認するため,種皮緑形質を持つ系統から当該遺伝子のゲノム領域をクローニングし,ダイズ形質転換を行うためのベクター構築を行った。さらに,このベクターをアグロバクテリウムへ導入し種皮が無色のダイズ品種へ形質転換を行った。現在,この形質転換個体を養成中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
現段階で目的形質を規定すると考えらえる遺伝子を特定し,その機能多型まで特定している。また,これらの変異はダイズの遺伝資源に存在する他の種皮緑形質を伴う品種・系統についても同様に保存されていることも確認している。
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Strategy for Future Research Activity |
作出した形質転換体の表現型を確認し,当該遺伝子が種皮緑形質を規定することを明らかにすることに加え,その遺伝子の機能解析も併せて行う。
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