2016 Fiscal Year Research-status Report
ツルマメのトランスポゾンTgs1を用いたダイズの遺伝子タギング
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16K07552
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
高橋 宏和 名古屋大学, 生命農学研究科, 助教 (50755212)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | トランスポゾン / ダイズ突然変異 |
Outline of Annual Research Achievements |
ダイズは主要な畑作物であるだけではなく、ゲノム解読も終わり研究材料としても重要な植物である。しかしながら、シロイヌナズナはもちろんイネやその他の作物と比較して、タグラインなどの実験材料は充実していない。そこで本研究では、野生ダイズ(ツルマメ)由来のトランスポゾンを用いて、タグライン系統を充実させるとともに、未知有用遺伝子を単離することが目的である.ダイズ野生種(ツルマメ)の花色斑入り変異体より,アクティブな新規トランスポゾン(Tgs1)が単離された.Tgs1は全長が3.8 kbと比較的短く,ダイズゲノム中でも高い頻度で転移することが明らかになっている.つる性を有するために大規模栽培が困難な斑入りツルマメにダイズ品種を戻し交配し,つる性を除くとともにダイズ並みの粒大と黄色の種皮を持った6000系統のタグラインを育成した.平成28年度は,6000系統のタグラインのうち5913系統を圃場に展開し,変異体のスクリーニングを行った.スクーリーニングの結果,種子色変異や矮性などの変異形質を有する15系統が変異体系統として選抜された.このことから,育成したタグライン系統が突然変異体集団として利用可能であることが示唆された.さらに本年度は,今後これら変異体の原因遺伝子の同定のために必要なタグラインからの遺伝子単離法としてTgs1を利用したトランスポゾンタギング法の確立を目指した.トランスポゾンタギング法の確立には,すでに復帰突然変異体が得られている種皮斑入り変異体を用いて解析を行った.今後は,種皮斑入り変異体に加え得られた突然変異系統の原因遺伝子が同定されることが期待される.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
圃場に展開したタグライン5913系統の評価と種子の整理に時間を要したたため,得られた変異体系統を温室で自殖し、そこから復帰突然変異体を見いだすまでには至らなかった.また,本年度トランスポゾンタギングにより,種皮斑入り変異体の原因遺伝子を同定する予定であったが,候補となるバンドは得られているが,遺伝子の同定までには至っていない.
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Strategy for Future Research Activity |
本年度得られた得られた変異体系統を圃場で栽培し,復帰突然変異体を見いだすとともに,得られた突然変系統の原因遺伝子の同定を目指す.また,本年度確立することができなかったトランスポゾンタギングによる原因遺伝子の同定方法についても次年度において確立する.また,本年度展開した6000系統から得られた突然変異系統は予想より少なかったため,次年度では,花色斑入りで固定した別の系統についてダグラインを育成し,新たな突然変異集団を作成する.
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Causes of Carryover |
平成28年度は,5913系統のタグライン系統を圃場に展開し,その表現型の評価に大きく時間と労力を割いたため,トランスポゾンタギング法の確立に十分に取り組むことができなかった.その結果,トランスポゾンタギングにおいて,候補となるバンドを検出するに至ったが,目的のバンドをクローニングし,プラスミドクローンの塩基配列を決定するには至らなかったため,クローニングや塩基配列決定に必要となる費用が次年度使用額として生じた.
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
現在得られている,目的のバンドをクローニングし,プラスミドクローンの塩基配列を決定するために使用する予定である.
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