2019 Fiscal Year Research-status Report
イネ縞葉枯病抵抗性遺伝子Stvbを強化する因子の解明
Project/Area Number |
16K07562
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Research Institution | National Agriculture and Food Research Organization |
Principal Investigator |
早野 由里子 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構, 中央農業研究センター, 上級研究員 (90414739)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
川原 善浩 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構, 次世代作物開発研究センター, 主任研究員 (30546370)
前田 英郎 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構, 次世代作物開発研究センター, ユニット長 (40442751)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | イネ / 抵抗性 / ウイルス / 遺伝子 |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度は、イネ縞葉枯病抵抗性主座であるStvb座に座乗する、Oryza sativa sp indicaに由来するStvb-iの機能解析を進めた。昨年度、Stvb-i発現抑制系統(以下RNAi系統)の生育は、高温による影響を受けやすいことが示された。そこで、Stvb-iの効果をより詳細に検討するため、RNAi系統とその原品種のイネ幼苗に38度1日という熱処理を行った。この熱処理を0回(無処理)、1回、3回と行い、幼苗の草丈を10日間経時的に調査し、RNAi系統と原品種との生育比較を行った。RNAi系統と原品種との生育差は、熱処理1-2日後に現れ、処理後日数の経過に伴って徐々に大きくなった。また、熱処理回数の増加は生育差を増大させた。一方、無処理区ではRNAi系統と原品種の生育差は、試験開始から10日を経過しても認められなかった。Stvb-i発現抑制の影響は、熱処理後速やかに現れ、生育の回復に及ぶことが示された。これまでの結果から、Stvb-iは、イネの生育、特に、高温による生育への影響を軽減する効果を有すると考えられた。 抵抗性強化因子とされるStva遺伝子については、前年度に引き続き、Stva保有/非保有系統・品種の次世代シークエンスデータに基づき、これまで配列情報が似ており、マーカーの設定が難しく、マーカーが不足している領域を重点的に検討し、Stva連鎖マーカーの開発をさらに進めた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
Stva連鎖マーカーの開発およびStvb-iの機能についての解析は概ね順調に進行し、Stvb-iが縞葉枯病抵抗性だけでなく、イネの生育を保護する働きを明らかにした。得られた情報は、抵抗性強化のための有用な基盤情報となると考えられる。しかし、データの取りまとめに時間を要し、論文投稿準備が年度内に整わず、成果公表ができなかった。そのため、課題全体としての進捗はやや遅れていると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
研究データのとりまとめおよび投稿準備を進め、論文投稿を行う。
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Causes of Carryover |
次年度使用額は、成果公表に関わる経費などの支出がなかったために発生した残額である。次年度使用額333.590円は、成果公表のために使用する。
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