2017 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
16K07570
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
礒田 昭弘 千葉大学, 大学院園芸学研究科, 教授 (10183740)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 点滴かんがい / 水稲 / マルチ / 地球温暖化ガス / 収量 |
Outline of Annual Research Achievements |
供試品種コシヒカリ(Japonica、水稲),プリンセスサリー(日印交雑品種、水稲),農林24号(Japonica、陸稲)を用い、畑地でのマルチを用いた点滴かんがい栽培(点滴かんがい区)と水田での湛水栽培(水田区)を行った.生育に伴い部位別乾物重、葉面積を、収穫期には収量および収量構成要素を調査した.出穂期前後に光合成関連形質を、生育に伴いメタンガスと亜酸化窒素発生量も調査した. 栽培期間中の降水量は923mmで、かん水量は点滴かんがい区で557mm,水田区で1135mm,総かん水量(降水量+かん水量)はそれぞれ1480mm,2058mmとなり、点滴かんがい区は水田区に比べかん水量で約50%、総かん水量で約30%の節水効果があった.光化学系Ⅱの量子収量と最大量子収量はいずれの品種も栽培処理間で有意差がなく、点滴かんがいによる光合成関連形質の低下はなかったと考えられた.点滴かんがい区は水田区に比べコシヒカリで80%,プリンセスサリーで41%,農林24号で92%の収量となった.メタンガス、亜酸化窒素発生量は水田区で点滴かんがい区に比べそれぞれ約80%、70%大きく、地球温暖化係数(GWP)は5.6倍高くなった. 以上のことから、水稲点滴かんがい栽培は大きな節水効果がり、光合成速度を含む生理的形質での低下もみられなかった.収量はコシヒカリと農林24号では点滴かんがい栽培と水田栽培で大きな差はなかったが、プリンセスサリーは穂数と1穂粒数の減少により点滴かんがい区で減収となった.また、点滴かんがい栽培区は温室効果ガス発生削減に高い効果が認められた.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
概ね計画どおり進展し、データも得られている.日本作物学会での発表も行い、論文を準備中である.今後、かんがいシステムを通じた施肥の開発を進め、効率的な施肥体系を確立する予定である.
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Strategy for Future Research Activity |
2017年度実施と同様の実験を行い、年次を加えることで環境要因との交互作用を検討する.また、播種方法、栽植密度、施肥方法を改善し、水稲点滴かんがい栽培における収量水準を引き上げる実験を行う.引き続きメタンガス、亜酸化窒素の測定を行い、温室効果ガス発生削減効果について検証を進める.
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