2017 Fiscal Year Research-status Report
イネ突然変異系統13-45における白未熟粒発生機構の解明
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16K07571
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
田中 朋之 (勝部朋之) 京都大学, 農学研究科, 准教授 (50224473)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | イネ / 白未熟粒 |
Outline of Annual Research Achievements |
近年、イネ登熟期の高温・低日射により白未熟粒の発生が問題となっているが、その発生機構には不明な点が多い。申請者らは、品種「日本晴」に重イオンビームを照射した集団より白未熟粒を多発する突然変異体13-45を分離した。そしてプロテオーム解析等により原因候補遺伝子を同定したものの、その発現量には差異は認められなかった。本研究では、(1)高温処理をした登熟中未熟種子におけるRNA-seq解析により、原因候補遺伝子を含む全ての遺伝子発現動態を明らかにするとともに、(2)変異体型の原因候補遺伝子産物の大腸菌発現系を構築して機能の変化を比較する。さらに(3)高温耐性品種や酒米・デンプン蓄積変異米等における原因候補遺伝子の役割を解析することで、13-45の白未熟粒発生機構の解明とその普遍的役割の解析を試みることを目的とした。平成29年度は、原因候補遺伝子の大腸菌発現系を構築し、発現タンパク質の機能解析を行った。原因候補遺伝子産物をグルタチオン-S-トランスフェラーゼ(GST)との融合タンパク質として大腸菌内で発現させ、原因候補遺伝子産物をGSTカラムを用いて高純度に精製することが出来た。原因候補遺伝子産物が有するATPase活性を調べたところ、13-45型は野生型に比べ、補酵素や基質を含まないときの最大活性が23%減少していることを明らかにした。また、原因候補遺伝子と相同な遺伝子を欠失した大腸菌の常温・高温下での相補試験により、13-45型はその機能を大きく損ねていることを明らかにした。すなわち、13-45型のタンパク質機能低下が、白未熟粒発生の主要因であることが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の目標通り、原因候補遺伝子の大腸菌発現系を構築し、発現タンパク質の機能解析を行った。その結果、原因候補遺伝子産物が有するATPase活性に関し、13-45型は野生型に比べ、補酵素や基質を含まないときの最大活性が23%減少していることを明らかにした。さらに、原因候補遺伝子と相同な遺伝子を欠失した大腸菌の相補試験により、13-45型はその機能を大きく損ねていることを明らかにした。以上により、13-45型のタンパク質機能低下が、白未熟粒発生の主要因であることを示唆することが出来たから。
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Strategy for Future Research Activity |
高温耐性品種や酒米・デンプン蓄積変異米等において原因候補遺伝子の構造と機能を解析することで、白未熟粒発生機構における当該遺伝子の普遍的役割の解析を試みる。また、突然変異体13-45に野生型の当該遺伝子を発現させた遺伝子組換え体を作製し、13-45や原品種「日本晴」とともに高温に対する温度反応性を解析する。
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Research Products
(1 results)