2016 Fiscal Year Research-status Report
イネ多収性遺伝子TAWAWAおよびAPO-1の個体群レベルにおける機能解析
Project/Area Number |
16K07580
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Research Institution | National Agriculture and Food Research Organization |
Principal Investigator |
福嶌 陽 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構, 東北農業研究センター 水田作研究領域, 上級研究員 (00414813)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 水稲 / 1穂籾数 / 収量 / TAW1 / APO1 |
Outline of Annual Research Achievements |
東北農研(秋田県大仙市)において、1穂籾数を多くする遺伝子TAW1、APO1をコシヒカリに導入した準同質遺伝子系統(コシTAW1、コシAPO1)を用いた栽培試験を行った。コシヒカリは耐倒伏性に劣るので、少肥条件とした。コシヒカリと比較して、いずれの準同質遺伝子系統も出穂期はほぼ同じであったが、コシTAW1は稈長がやや短く、コシAPO1は稈長がやや長かった。コシヒカリと比較して、いずれの準同質遺伝子系統も1穂籾数は多く、コシTAW1は穂数が同等、コシAPO1は穂数が少なく、また、いずれの準同質遺伝子系統も千粒重は軽く、登熟歩合は低かった。その結果、コシヒカリと比較して、いずれの準同質遺伝子系統も総籾数は多かったが、精玄米重は少なかった。準同質遺伝子系統の1穂籾数が多い原因は、1穂分化籾数が極めて多いことであった。また、APO1を含めた1穂籾数を多くする遺伝子は、穂数が減少し、および茎直径が増加するという多面発現的効果を示すのが一般的であるが、TAW1は、穂数や茎直径に影響を及ぼさないことを確認した。すなわち、1穂籾数を多くする遺伝子の中でも、TAW1とAPO1では働き方が異なることを明らかにした。準同質遺伝子系統の千粒重が小さい原因としては、籾長が短いことが挙げれられた。準同質遺伝子系統の登熟歩合が低下する原因としては、不稔が増加するのではなく、未熟粒が増加することが推察された。 東北農研(秋田県大仙市)において、コシTAW1を、主食用多収系統「奥羽424号」、および耐倒伏性が極めて優れる飼料用品種「べこげんき」と交雑した後代の個体選抜を行い、それぞれ、67系統、30系統を選抜した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
気象災害等の大きな問題はなく、計画通り、予備試験を含めた2年間の栽培試験の結果を得ることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
主担当者が、4月から茨城県つくば市に異動になった。また、本研究の問題点として、コシヒカリおよびその準同質遺伝子系統は、耐倒伏性に劣るので多肥多収を実証することができないこと、さらに東北農研(秋田県大仙市)の気象条件ではコシヒカリの出穂が遅く、登熟が不十分となることが挙げられた。そこで、次年度から、茨城県つくば市の農研機構・次世代作物開発センターにおいて、日本晴の準同質遺伝子系統を用いた栽培試験に取り組むこととした。そのために、次世代作物開発センターに所属する研究員を分担者として加える申請を行った。一方、東北農研においては、水稲育種グループの協力のもと、計画どおりTAW1およびAPO1を東北地域の多収系統に導入した東北地域向きの系統の作成に取り組むこととした。
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Causes of Carryover |
研究代表者の異動が、決まったため、研究分担者を追加し、新たな体制で研究を継続することとした。そこで、本年度の経費の見直しを行い、次年度の初期経費に当てることとした。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
新たな研究分担者に初期経費として重点的に配分することとした。
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