2016 Fiscal Year Research-status Report
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16K07582
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Research Institution | National Agriculture and Food Research Organization |
Principal Investigator |
森下 敏和 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構, 北海道農業研究センター 畑作物開発利用研究領域, 資源作物グループ長 (30414949)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 普通ソバ / 多収性 / 大粒性 / 収量構成要素 / 栽培試験 / 訪花昆虫 / 閉鎖系試験 |
Outline of Annual Research Achievements |
栽培条件が収量および収量構成要素に及ぼす影響を解明するために栽植密度や施肥量などの条件を変えて栽培試験を実施した。登熟期間中の台風により過去の栽培試験研究で認められている早刈区、標刈区、遅刈区の順の子実重の増加が認められなかった。このように栽培環境が攪乱された条件ではあったが、多くの試験区で「芽系32号」の子実重は「キタワセソバ」を上回った。「芽系32号」(大粒系統)の面積当たり小花数と花房数、花房当たり小花数は「キタワセソバ」よりも少なかった。「芽系32号」の受精率および登熟歩合は「キタワセソバ」よりも高かった。台風の影響を受けた試験であったが、概ね「芽系32号」と「キタワセソバ」の収量構成要素の差異は予想通りであった。 閉鎖栽培系の栽培試験は網枠により外部の訪花昆虫の進入を遮断して栽培試験を実施した。その結果、栽培試験と同様に「芽系32号」の面積当たり小花数と花房数、花房当たり小花数は「キタワセソバ」よりも少なかった。栽培試験と異なり、「芽系32号」と「キタワセソバ」との間に受精率と登熟歩合に明確な差は無かった。閉鎖栽培試験の訪花昆虫多区の受精率は栽培試験の受精率よりも大幅に下回ったため、処理条件の再検討が必要である。 半矮性への大粒性導入の試みとその評価については大粒系統と半矮性系統の交配F3世代を40素材養成した。それらのうち粒径ふるいにより6mm以上の子実を有する31素材を選抜した。十分な大粒種子が得られた素材については今年度の栽培試験に供試する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
栽培条件が収量および収量構成要素に及ぼす影響の解明については、登熟期間中の台風により早刈区、標刈区、遅刈区の順に子実重の増加が認められなかった。想定した通りのデータが得られなかったため今年度再試験をする 閉鎖栽培系における訪花昆虫が収量および収量構成要素に及ぼす影響の解明については、台風の強風により網枠の被害が発生したが、訪花昆虫(ハエ)多区と少区との間の受精率の差と大粒による子実重の補償効果が確認できたことから計画通り達成できた。 半矮性への大粒性導入の試みとその評価については、育成を進めている40素材のうち31点の半矮性大粒種子を得た。2016年度は経過世代が若かったことと十分な種子が無かったため栽培評価はできなかったが、2017年度は評価可能な素材が得られる見込みである。 大粒系統と半矮性系統の交配F3世代を40素材養成した。それらのうち31世代は粒径ふるいにより6mm以上の子実を選抜した。十分な大粒種子が得られた素材については今年度の栽培試験に供試する。
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Strategy for Future Research Activity |
栽培条件が収量および収量構成要素に及ぼす影響の解明については残り2年間試験を実施し、農業関連形質や収量構成要素の年次変動を明らかにする。 閉鎖栽培系における訪花昆虫が収量および収量構成要素に及ぼす影響の解明については、28年度の試験の訪花昆虫多区の受精率が低かったことから多区の訪花昆虫の処理量を大幅に増やして閉鎖栽培系試験を実施する。 半矮性への大粒性導入の試みとその評価については、半矮性大粒の固定系統の選定を進めるとともに栽培試験に供試して、半矮性化が収量構成要素に及ぼす影響について明らかにする。
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