2016 Fiscal Year Research-status Report
高温条件下でのイチゴ四季成り性品種の品質低下の機構解明と克服に関する研究
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16K07585
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
西山 学 東北大学, 農学研究科, 助教 (80312627)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
金山 喜則 東北大学, 農学研究科, 教授 (10233868)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 四季成り性イチゴ / 高温 / 果実品質 |
Outline of Annual Research Achievements |
イチゴは,卸売価額が1,500億円と国産果実ではミカンに次いで高く,最も重要な園芸作物の一つである.現在,日本で栽培されているイチゴの品種のほとんどは一季成り性品種であることから,夏秋季には海外から生鮮果実を輸入している.国産果実に対する需要は大きく,産業振興のためにも夏秋季にも果実生産できる四季成り性品種の導入が求められていが,高温による奇形果,果実サイズや糖度の低下という品質の問題が生じている.特に近年は夏が異常に暑くなる傾向があり,栽培現場では深刻な問題となっている. 高温による品質の低下は,一般に,奇形については受精不良(不稔によって痩果が発達しない),果実サイズや糖度の低下は早期成熟が原因であるとされており,品質低下の報告は国内でみられるが,その発生機構は明らかではない.また,非クライマクテリック型であるイチゴの成熟に関する知見として,オーキシンとアブシシン酸(ABA)が成熟をそれぞれ遅延,促進すること,無関係と考えられてきたエチレンも関与する可能性があることが国外での研究で明らかになっている.そして,これら植物ホルモンの合成や,シグナル伝達および着色・軟化に関わる下流の遺伝子が成熟に関わっていると考えられている.そこで本研究ではこれらの知見に基づいて,夏秋季に栽培することを目的とした四季成り性品種を供試して,高温条件下での果実品質の低下機構を解明するとともに,克服のための技術開発に資する知見を得ることを目的とする. 材料として‘なつあかり’と‘すずあかね’を供試した.日長は自然日長とし,温度区として対照区(18℃/25℃)と高温区(28℃/35℃)を設けた.高温区の花房発生は,‘なつあかり’では抑制され,‘すずあかね’は促進されたことから,収量は‘すずあかね’の方が多かった.果実サイズは,対照区と比較して高温区の方が小さく,従来と同様の傾向が認められた.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
高温条件下において,花器の成長が十分でなかったことが原因と考えられる奇形果の発生が認められた.具体的には,対照区と比較して,萼が大きく,花糸が短く,花柱が茶色の花が咲いた.このような花の場合,花粉の稔性が低かったか,雌蕊が枯死していたためか,受精が不良となったと考えられる.イチゴの場合,正常な受精をした痩果がオーキシンを生合成し,果実の成長を促進させることが知られているが,本研究では,受精不良が原因となり,奇形花が発生したと考えられる.このような果実はサイズが小さく,品質などを分析するうえで十分な量でなかった.また,高温と短日の組み合わせによる花芽分化の発生が停止したことが原因として考えられる収穫のない時期があった.
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Strategy for Future Research Activity |
28年度に収穫できた果実に関しては,計画通りに糖や酸などの成分分析を進めたり,果実の成熟に関わる植物ホルモンの含量を測定したりする.対照区と高温区の果実を供試して両者の差異を調べ,高温条件下での果実品質の低下となっている原因を明らかにする.また,28年度で認められた花器の異常について,異常発生の詳細なメカニズムについて検討する.このことは,栽培現場において,高温条件下で果実サイズが低下する原因を明らかすることに関わると考えられる.これに関連し,花粉の稔性を調べたり,雌蕊の顕微鏡写真を撮ったりするなどして調べることとする.
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