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2017 Fiscal Year Research-status Report

植物工場でのイチジク果実生産における光環境制御に関する基礎的研究

Research Project

Project/Area Number 16K07587
Research InstitutionChiba University

Principal Investigator

大川 克哉  千葉大学, 大学院園芸学研究科, 講師 (00312934)

Project Period (FY) 2016-04-01 – 2019-03-31
KeywordsLED / イチジク / アントシアニン / 収穫時期 / 光条件 / デンプン / 植物工場
Outline of Annual Research Achievements

光質の異なるLED光照射がイチジクの新梢生育,果実品質,果実収量および花芽形成に及ぼす影響を明らかにすることを目的に,密植条件下(株真23cm)で養液栽培しているイチジクを二期作栽培し,発生した新梢に対して赤(波長658nm),青(波長447nm)および緑(波長521nm)色LED光を夜間(午後4時~午前8時)に照射した.なお,作型は日照が不足する冬季から夏季に栽培する作型(一期作目)と夏季から冬季にかけて栽培する作型(二期作目)とした.その結果,一期作目では,無照射区に比べて葉枚数はすべてのLED照射区で早期に増加し,果実の収穫時期は赤色LED照射区で最も早かった.収穫した果実の品質について見ると,果実重,果実径,可溶性固形物含量に処理区間で有意な差は認められなかったが,果皮中のアントシアニン含量は無照射区および緑色LED照射区と比べて赤色LED照射区で有意に高かった.特に光条件の悪い低位節の果実では,無照射区と赤色LED照射区とで,その差が顕著であった.一方,1樹あたりの果実収量および花芽形成率には処理区間で有意な差はなかった.すべての処理区の果実収穫終了時における新梢基部の炭水化物含量について調査したところ,全糖含量には処理区間で有意な差はなかったが,デンプン含量は赤色LED照射区で他区よりも有意に高かった.これらの調査後,新梢の切返し剪定を行い,二期作目を開始した.二期作目では赤,青および緑色LED光を午前4時から8時,午後4時~10時に照射した.その結果,花芽分化率は緑色LED光照射区で高い傾向にあった.以上のことから,イチジクへの赤色LED光照射は果実の成熟を早めること,また果皮中のアントシアニン含量を増加させ,その効果は昼間の光条件の悪い低位節の果実で顕著であることが明らかとなった.

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

平成29年度の研究では,平成28年度で用いたLEDよりもより光強度の強いLEDを使用し,LED光照射方法も平成28年度では新梢の低位節のみ照射したのに対し,平成29年度では新梢全体に照射する方法に変えて行ったところ,冬季寡日照条件下で栽培を開始する作型(一期作目)において,光質の違いが新梢生育,果実品質および果皮中のアントシアニン含量に及ぼす影響を調査したところ,平成28年度の実験においては判然としなかった光質の違いがイチジク果実の着色,すなわち果皮中のアントシアニン含量に及ぼす影響について,イチジク果皮のアントシアニン生成には赤色光が有効であること,また緑色光はほとんど影響を及ぼさない点を明確にすることができた.一方,LED光照射が葉の光合成に及ぼす影響については,果実品質,特に果実径および可溶性固形物含量の結果から判断するとそれほど大きなものではないという点についても推察することができた.しかし,果実収穫終了時における新梢内デンプン含量は赤色LED照射区で他区よりも高い結果となった.この要因として,赤色LED処理区で葉の光合成が促進されたことが考えられるが,赤色LED照射区では収穫が早期に終了したことも関連している可能性が考えられる.この点がやや判然としない.平成30年度の実験ではこれらの点についても明らかにする必要がある.

Strategy for Future Research Activity

平成29年度の実験結果から,イチジク果皮の着色促進には赤色LED光の照射が有効であることが明らかとなったことから,平成30年度の実験ではまず赤色LED光の照射に焦点をあてて実験を進める.果皮中のアントシアニン生成に有効なLED光照射の時間帯,すなわち試験区として昼間照射,夜間照射,24時間照射および無照射の4区を設け,果実品質(果実径,可溶性固形物含量),果実収量および果皮中のアントシアニン含量に及ぼす影響を明らかにする.一方,イチジクではアントシアニンは果皮だけでなく果肉中にも蓄積するが,果皮中のアントシアニン含量と果肉中のアントシアニン含量との関係についてはあまり明確ではない.平成30年度の実験ではこれらの点にも着目して,平成29年度および平成30年度の果実サンプルを用いて果皮および果肉中のアントシアニン含量および果肉の抗酸化活性を調査し,赤色LED光照射による高機能性果実生産の可能性について検討する.一方,葉の光合成による物質生産に関する点を明らかにするために,挿し木苗を利用し,光質の違いが炭水化物含量および乾物生産に及ぼす影響についても明らかにする.

  • Research Products

    (1 results)

All 2018

All Presentation (1 results)

  • [Presentation] 養液栽培法によるイチジクの超密植栽培に関する研究(第7報)LEDによる補光が果皮食および花芽形成に及ぼす影響2018

    • Author(s)
      川村望真・大川克哉・中野純・斎藤隆徳・小原均・近藤悟
    • Organizer
      園芸学会

URL: 

Published: 2018-12-17  

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