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2017 Fiscal Year Research-status Report

クチクラ層特性簡易評価法と障害対策技術の開発

Research Project

Project/Area Number 16K07592
Research InstitutionShizuoka University

Principal Investigator

鈴木 克己  静岡大学, 農学部, 教授 (70370575)

Project Period (FY) 2016-04-01 – 2019-03-31
Keywordsクチクラ層 / 水疱症 / トマト / 生理障害 / 染色 / 電子顕微鏡
Outline of Annual Research Achievements

トマトの葉の水泡症は葉の表面が隆起し, やがて枯死する生理障害であり, UVカットフィルム下や人工光源下で発生する.本年度, クチクラ層の変化について透過型電子顕微鏡観察を行い, 水泡症が発生する条件でトマトを栽培し, クチクラ層の異常を簡便に識別する方法を応用し, その発生部位や生育ステージについて調査した.透過型電子顕微鏡でトマトの正常葉と水泡症を発生した葉を観察したところ, 正常葉のクチクラ層は, ワックスからなる上層, ワックス中にクチンを含む中間層, クチンとワックスに加え細胞壁の成分であるペクチン, セルロース, その他の多糖類から構成される下層により形成されていた. 一方, 水泡症部位の表層細胞では,中間層が肥大している部位や, 上層が薄くなった部位が観察され, クチクラ層が変化していることが明らかになった. 水泡症を発生した部位はトルイジンブルー水溶液で青色に染色され, 染色されない正常部位と簡易に識別できた. 人工気象器を利用した実験で, 播種後1週間の個体は4日間処理しても染色されず, 水泡症の発生は認められなかった. 2, 3週間後の本葉が展開を始めた個体では, 人工気象器で2日間以上の処理により水泡症が発生した. これらの個体における主な発生部位は展開途中の葉で, 生長点に近い葉ほど染色面積が少なく, 子葉や展開が終了した第1葉では水泡症は発生しなかった. 2~4葉は水泡症を発生した後, 枯死した. 以上のことから, 水泡症は葉面積を拡大している展開中の葉において発生し, 2日間という短期間処理でも発生することが明らかになった. また, 水泡症の発生は, 葉のクチクラ層の中間層の肥大, 上層の減少といった変化を伴い, トルイジンブルー染色が判別に応用できることが分かった.

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

簡易法についてトルイジンブルー染色による識別法が利用可能であることが示され、発生条件について実験を進めることができている。発生条件の特定について順調に研究ができており、今後詳しい解析について行うことが可能となった。また、成分分析について、クチクラ層のみを酵素で葉から単離することが可能となっており、今後、化学的な分析も可能となった。

Strategy for Future Research Activity

クチクラ異常を伴う水疱症発生程度は染色法により簡易に評価が可能となったことから、水疱症の品種間差異について、タイプの違う8つのトマト品種を用いて発生程度を比較する。夏季に実際に圃場でトマトを栽培し、果実で発生するクチクラ裂果の発生率を調べ、水疱症発生率との相関を調査する。水疱症が発生しやすい品種では裂果しやすく、水疱症が発生しにくい品種では裂果しにくいと仮定している。裂果および水疱法の発生程度が、クチクラ層のどの成分と関係があるか不明であるため、それぞれのクチクラの化学成分やクチクラ関連遺伝子発現の違いを調査し、その関係性について明らかにする。なお、これまで調べられていないクチクラ層の光透過率を用いた解析を行う。また、酵素を用いて葉や果実からクチクラ層のみを単離することに成功しているので、今後は性質の違うクチクラ層を見つけ、UV感光シートを用いた評価法の開発も引き続き行い、上記の研究に応用できる技術に完成させる。以上の実験を行うことで、UVとクチクラ層形成との関連性について解明し、UV障害発生機構について考察し、障害を抑制する対策の開発につなげる。水疱症の発生機構について論文作成に着手しており、本年度中に投稿する予定である。当初の計画どおり、今後も研究を推進する。

Causes of Carryover

肥料や薬品など交付金等で購入した物品を利用できたため次年度使用額が生じた。今年度は遺伝子解析実験など予算がかかる実験に取り組む予定であることや、鹿児島での学会出席費、論文作成として英文校閲代や投稿費などで使用予定であり、計画的に執行予定である。

  • Research Products

    (2 results)

All 2017

All Journal Article (1 results) Presentation (1 results)

  • [Journal Article] トマトの周年安定生産に向けた取組み-夏季高温の克服と冬場の効率的な暖房-2017

    • Author(s)
      鈴木克己
    • Journal Title

      農業および園芸

      Volume: 92 Pages: 650-656

  • [Presentation] トマト水泡症発生に伴う葉のクチクラ層の変化2017

    • Author(s)
      小澤千秋・古屋哲・切岩祥和・鈴木克己
    • Organizer
      園芸学会

URL: 

Published: 2018-12-17  

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