2019 Fiscal Year Annual Research Report
Development of evaluation method for cuticular layer charactristics and control of cuticular layer injury.
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16K07592
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Research Institution | Shizuoka University |
Principal Investigator |
鈴木 克己 静岡大学, 農学部, 教授 (70370575)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | トマト / クチクラ層 / UV / 湿度 / 水疱症 / 生理障害 |
Outline of Annual Research Achievements |
トマトの葉の水疱症は葉の背軸側の表面に白い点状の隆起した部位が現れ,その後,隆起した部位は拡大し,褐変化し,重症になると葉が枯れる生理障害である.水疱症はUVカットフィルム下や人工光源下で発生することが多く,生産現場でも問題となっている.走査型電子顕微鏡による観察では水疱症により葉の背軸側の個々の細胞が隆起した様子が観察され,葉脈の表皮細胞や気孔の孔辺細胞も隆起していた.切片での観察では,表皮細胞,海綿状組織の細胞,また柵状組織の細胞でも肥大することが観察された.樹脂切片を作成した場合,正常な向軸側の葉の表皮,正常な背軸側の表皮では,表面と包埋用のテクノビット7100樹脂が剥離することがあった.しかし,隆起した表皮では樹脂は剥離することはなかった.透過型電子顕微鏡による観察では,水疱症を起こした葉の表皮細胞のクチクラ層で,一番外側のワックス層の消失,中間層の異常,クチクラ層の減少などクチクラ層の異常が観察された.クチクラ層の異常を簡易に識別するためトルイジンブルー染色を行ったところ,水疱症発生部位は紫色に染色された.この染色法を使用することで葉の全面積に対する染色面積の割合を水疱法発生程度として数値化することが可能になった.低UV条件のグロースチャンバーを使用した実験から,水疱症は若い葉や完全展開葉では発生しにくく,葉面積を拡大する展開葉で発生が多くみられた.水疱法を起こした葉の水分含量は正常な葉に比べて低下していた.水疱症は低湿度条件で発生が少なく,高湿度条件で発生が多かった.UVや湿度はクチクラ層の発達に影響を与えることが知られており,水疱症はクチクラ層が発達しにくい条件で重度化すると考えられた.以上のことから,葉の水疱症はクチクラ層の異常を伴うことが明らかになり,UV照射や低湿度などクチクラ層がよく発達する条件では障害が少なくなることが示された.
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Research Products
(2 results)