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2017 Fiscal Year Research-status Report

トマトの夏期着色不良果の発生要因の解明とその対策技術の確立

Research Project

Project/Area Number 16K07593
Research InstitutionShizuoka University

Principal Investigator

切岩 祥和  静岡大学, 農学部, 准教授 (50303540)

Project Period (FY) 2016-04-01 – 2019-03-31
Keywordsトマト / 着色不良果 / カリウム / カロテノイド / フルーツディスク
Outline of Annual Research Achievements

トマトの着色不良果の発生要因の解明とその対策技術を確立するため、フルーツディスクを利用した評価系を開発した。その概要は、緑熟期果実から直径2cm程度の果皮を採取し、シャーレにて着色させる系である。この系での着色特性は、果皮の採取部位(肩部と尻部)ごとに樹上果実と同様であったことから、果実の着色特性の評価系として有用であることが確認できた。
まず、ディスクはカリウム処理により着色が促進され、カリウムの処理時間が30、60分と長くなるほどディスク内のカリウム含量も増加し、処理前の1.5倍、2倍程度に増加した。樹上果実へのカリウムの取り込みとはその挙動が異なる可能性はあるが、カリウムの供給と果皮での着色不良の発生との関係を明らかにするための評価系として十分であると考えている。
次に秋冬作において日中に果実の果面温度をサーモカメラで測定したところ、10時~17時の間は30度以上を維持し、13時頃には最高45℃を記録した。日没後の17時~9時の間は15度程度で推移した。今作での着色不良果の発生は多くなく、K10区においても20%程度と低かった。しかし、K10とK30の各区から採取した緑熟期の果実を15℃一定、35℃一定、または15/35℃変温の各条件下で温度処理を行ったところ、現場で発生する着色不良果が得られたのは15/35℃変温区のみであった。このことから果実の赤色の着色は高温により阻害されると同時に、変温で赤色に着色するためには肩部のカリウム含量が高い必要があることが明らかとなった。
さらに、この時期に果実を40~50℃程度に局所加温して着色不良の発生について検討したが、その処理時間と程度のわずかな制御を必要とし、夏場の状況を再現することはできなかった。
加えて、カリウム含量の低い果実とフルーツディスク系のサンプルについてカロテノイド合成系の各遺伝子発現からも検討を進めている。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

フルーツディスクを用いた評価系により、着色とカリウム処理の効果が確認されたことから、カロテノイド代謝にカリウムが関与する可能性が示唆された。このことは、着色不良果の要因である高温と強日射に対する環境制御対策(冷房や遮光等)だけでは改善しきれない要因を補足するカリウム施肥条件の検討を効率的に進めることにつながると考えている。
これら材料についてはカロテノイド代謝系のRT-PCR解析に着手しており、カリウムによるカロテノイド代謝への関与や、カリウム状態の異なる果実での代謝への影響を明らかにすると同時に、ディスクを利用した温度・強光条件とカリウム施肥との関連についても検討することができ、着色不良果の発生抑制の対策技術に応用可能であると考えている。

Strategy for Future Research Activity

本研究成果を生産者が今年の夏の栽培で実践したところ、着色不良果の発生が劇的に抑えられ大きな効果が得られたとの報告を受けている。現場で得られる効果は、栽培システムや環境制御技術の導入状況等も加味する必要はあるが、研究成果が現場で受け入れられたことは大きな自信となる。養液栽培システムの導入されていない生産圃場での施肥効果については想定していなかったが、園芸学会での発表後に情報交換した中で、このような事象で困っている産地も多いが、養液土耕では異なる対策が必要となるため、さらなる検討も必要であることを改めて確認した。カリウムの多施肥はCaの吸収を拮抗阻害する可能性も示唆されていることから、土耕の場合には注意する必要もある。本研究の成果を大きな効果とするためには、さらに検討する場面が多いようである。ただ、フルーツディスク系での果実へのカリウム処理は、カリウム溶液への短時間の浸漬処理であったことから、土耕等での着色不良の課題解決については、果面処理等の方法も効果的かもしれない。
施肥効果の実現をトマトの生理的な特性として理解するためにも、カロテノイド代謝系へのカリウムの関与についてより詳細な検討を行い、着色不良果の軽減対策に役立てる技術を確立する必要がある。

Causes of Carryover

理由:栽培システムのメンテナンスや栽培にかかる諸経費を物品費として計上していたが、従来のシステムを効果的に利用できたため当該年度の経費を抑えることができた。
使用計画:次年度はカロテノイド代謝の解析に使用する消耗品を購入するための費用が必要で、計画的に執行し、研究のスピードをさらに高めていきたいと考えている。

  • Research Products

    (1 results)

All 2018

All Presentation (1 results)

  • [Presentation] トマトの着色不良果の発生抑制のためのカリウム施用期間の検討2018

    • Author(s)
      岡田健二郎、鈴木克己、切岩祥和
    • Organizer
      園芸学会平成30年度春季大会

URL: 

Published: 2018-12-17  

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