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2017 Fiscal Year Research-status Report

栽培イチゴ花芽分化誘導ならびにランナー発生機構解明と超促成栽培法の確立

Research Project

Project/Area Number 16K07594
Research InstitutionNagoya University

Principal Investigator

松本 省吾  名古屋大学, 生命農学研究科, 教授 (90241489)

Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) 太田垣 駿吾  名古屋大学, 生命農学研究科, 講師 (50597789)
Project Period (FY) 2016-04-01 – 2019-03-31
Keywords園芸学 / 野菜 / イチゴ / 花芽分化 / 促成栽培 / ランナー発生
Outline of Annual Research Achievements

栽培イチゴ苗‘とちおとめ’について、短日夜冷(低温)処理25日目(S25_0)の花芽未分化状態、41日目(S45_A)の花芽分化状態、比較対象として長日高温処理25日目(L25_0)、41日目(L41_0)の花芽未分化状態のクラウン茎頂部をレーザーキャプチャーマイクロダイゼクション法にて取り出し、RNA-seqによるトランスクリプトーム解析を行った。花芽分化個体の茎頂において、未分化個体の茎頂より4倍以上高く発現している遺伝子群(S41_A/S25_0≧4, S41_A/L41_0≧4)から、栄養成長ならびに環境応答(L41_0/L25_0≧4, S25_0/L25_0≧4)に関わる遺伝子群を除き、得られた62遺伝子についてNCBI NRデータベースを用いてアノテーション付けを行なった。その後、GO解析を行なった結果、花芽分化誘導に関わるFT, LFY, AGL8 (FUL)や花器官分化に関わるAP1, SEP2, SEP4などがエンリッチされていた。これらの中から特にFTに着目し、‘とちおとめ’クラウン茎頂部より花芽分化誘導候補遺伝子FaFT3を単離した。FaFT3は、花芽分化誘導機能に必須とされるアミノ酸(87番目のチロシンと142番目のグルタミン)を有しており、35S::FaFT3導入シロイヌナズナ、すなわちFaFT3過剰発現体は早期開花性を示した。また、同時に単離したFaFDについては、特徴的なロイシンジッパーモチーフを有していたが、興味深いことに14-3-3を介したFTとの相互作用に必須なSAPモチーフが存在しなかった。リアルタイムPCRによる経時的な発現解析から、FaFTはクラウン茎頂の頂端部特異的に花芽分化と正の相関が見られ、一方、FaFDは恒常的に発現していた。両者の発現部位の特定をin situ ハイブリダイゼーション法により実施した。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

今年度は、レーザーキャプチャーマイクロダイゼクション法を用いて、栽培イチゴの花芽分化誘導時にクラウン茎頂の頂端部特異的に発現変動する遺伝子群のトランスクリプトーム解析を行った。その結果、花芽分化に関わる可能性のある新奇候補遺伝子群の情報が得られた。栽培イチゴ‘とちおとめ’では、花芽分化誘導に伴い花芽分化誘導(促進)ならびに花器官分化関連遺伝子群が発現上昇するとともに、花芽分化抑制遺伝子群が発現低下することが明らかにされ、特に、FaFT3遺伝子の発現上昇とFaTFL1-1遺伝子の発現低下が栽培イチゴの花芽分化に重要であることを見出した。両遺伝子のシロイヌナズナへの導入による機能解析実験から、実際に、FaTFL3は花芽分化を促進し、FaTFL1-1は花芽分化を遅延させることを確認した。また、in situハイブリダイゼーションによりFaFT3とFaFDの発現部位の特定を試みた。さらに、ランナー形成への関与が示唆されるFaFT1については、野生種のFvFT1とわずか1アミノ酸の違いにより花芽分化促進機能が失われることを再確認した。以上、いくつかの興味深い知見が得られつつあるが、‘とちおとめ’で得られた結果が、他の栽培イチゴにも当てはまるかについては明らかにできなかった。

Strategy for Future Research Activity

これまでの研究成果を踏まえ、FaTFL1-1とFaFT3については、栽培イチゴ‘とちおとめ’で得られた結果が他の栽培イチゴ品種にも当てはまるか調べ、栽培イチゴに普遍的であるか検証する。特に、30日以上にわたる短日低温処理以外の方法、例えば、4℃暗所と野外との移動を数日単位で数回繰り返す間欠冷蔵法による花芽分化誘導においても同様の結果が得られるか引き続き検証する。また、in situハイブリダイゼーション法によりFaFT3とFaFDの発現部位を引き続き特定するとともに、両タンパク質が複合体を形成することをBiFC法などにより調べる。さらに、RNA-seqによるトランスクリプトーム解析によりこれまでに同定した花芽分化時に特異的に発現変動する遺伝子群について、RT-PCR法もしくはリアルタイムPCR法を用いて遺伝子ごとに個別発現解析を実施し、その発現プロファイルを明らかにする。一方、野生イチゴならびに栽培イチゴ‘とちおとめ’にFT遺伝子群を恒常的に発現させる系を確立し、FaFT3とFaFT1のイチゴにおける機能解析、すなわちFaFT3の開花誘導ならびにランナー発生に及ぼすFaFT1の関与を明らかにする。

Causes of Carryover

(理由)
当該年度に予定していた栽培イチゴ‘とちおとめ’で得られた成果が他の栽培イチゴにも当てはまるかを調べる実験ならびに間欠冷蔵法による花芽分化誘導での検証実験を翌年度に実施することにしたため
(使用計画)
次年度に上記理由に記載した実験内容を実施し、経費を使用する予定である。

  • Research Products

    (3 results)

All 2017

All Journal Article (1 results) (of which Peer Reviewed: 1 results) Presentation (2 results)

  • [Journal Article] Functional analyses of cultivated strawberry FT and TFL1 homologs2017

    • Author(s)
      K. Koembuoy, R. Nakajima, S. Otagaki, T. Kurokura, H. Takahashi, M. Nakazono, K. Shiratake and S. Matsumoto
    • Journal Title

      Acta Horticulturae

      Volume: 1156 Pages: 95 - 102

    • DOI

      DOI 10.17660/ActaHortic.2017.1156.13

    • Peer Reviewed
  • [Presentation] Expression and functional analyses of FaTFL1-1/FaFT1 in cultivated strawberry.2017

    • Author(s)
      K. Koembuoy, S. Otagaki, S. Nagano, S. Isobe, K. Shiratake and S. Matsumoto
    • Organizer
      園芸学会平成29年度秋季大会
  • [Presentation] 栽培イチゴFaFT3の発現、機能解析2017

    • Author(s)
      長谷川史織、太田垣駿吾、永野聡一郎、磯部祥子、白武勝裕、松本省吾
    • Organizer
      園芸学会平成29年度秋季大会

URL: 

Published: 2018-12-17  

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