2016 Fiscal Year Research-status Report
白-赤-紫のアントシアニン着色における原因遺伝子の変異解析
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16K07597
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Research Institution | Shimane University |
Principal Investigator |
中務 明 島根大学, 生物資源科学部, 准教授 (40304258)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小林 伸雄 島根大学, 生物資源科学部, 教授 (00362426)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | ダイコン / 水酸化 / アントシアニン / 変異遺伝子 / DNAマーカー |
Outline of Annual Research Achievements |
根部着色を有するダイコン園芸品種において赤色(ペラルゴニジン系色素)から紫色(シアニジン系色素)を誘導するフラボノイド3´-水酸化酵素(F3´H)遺伝子を解析したところ,赤色品種では同遺伝子の第1エキソン領域へのレトロトランスポゾン挿入により, F3´Hが正常に機能しなくなるため,根部にペラルゴニジンによる赤色を呈することが明らかとなっている.ダイコンの根部着色に関与するF3´H遺伝子型を判別することを目的に,赤色着色に関与するF3´H遺伝子の変異に基づくプライマーを設計し,根部が赤色の‘長安青丸紅心’と白色の「出雲おろち大根」‘スサノオ’およびその交雑後代において着色形質の遺伝性を調査し,F3´H遺伝子型を判別するDNAマーカーの結果とあわせて検討した. 赤色の‘長安青丸紅心’と白色の「出雲おろち大根」の正逆交配を含むF1のほぼすべての個体が紫色の根部着色を示した.F2およびBC1における根部着色形質は紫色,赤色および白色の3種類に分離した.PCR分析の結果,「出雲おろち大根」は正常なF3´Hの450bp,‘長安青丸紅心’はレトロトランスポゾン変異を含む750bpの増幅バンドを示し,両品種の正逆交配を含むF1は根部が紫色または白色の9個体で両方の増幅バンドを保有していた.F2はこれら3種類のバンドパターンのいずれかを示した.根部着色形質とバンドパターンを比較したところ,赤色個体は750bpのみ,紫色個体は450bpのみまたは450bp+750bpのバンドパターンを示し,白色個体はいずれかのバンドパターンを示した. 以上の結果から,ホモの変異型750bpバンドのみを有する根部着色個体は赤色を示すことが明らかとなり,本DNAマーカーによりF3´H遺伝子型の判別が可能であり,赤色個体の育種マーカーとして活用できると考えられた.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ダイコン園芸品種と「出雲おろち大根」およびその交雑後代の根部着色個体に関して、DNAマーカーにより赤色と紫色を判別できた。その成果は学会発表され、学術雑誌への投稿を準備している。 以上の状況から、おおむね順調に進展していると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
アントシアニン着色の有無および部位別特異的な発色を識別するため、アントシアニン着色しない「出雲おろち大根」や‘耐病総太り’など白色個体と、アントシアニン着色する園芸品種を用いて、28年度に単離したMYBを候補遺伝子として発現解析とDNA構造解析を進める。 28年度の着色形質の分離結果に基づいて29年度の交配を行い、部位特異的なアントシアニン着色の遺伝性を確認する。「出雲おろち大根」着色系統を材料に28年度に開発したDNAマーカーによる赤・紫の識別を行う。
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Causes of Carryover |
赤色と紫色を識別するDNAマーカーの開発が順調に進展したため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
引き続いて、新しいマーカー開発を進める。
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