2017 Fiscal Year Research-status Report
倍数性が異なる組織を利用したヒュウガナツ非還元配偶子の遺伝的構成の解明
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16K07600
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Research Institution | University of Miyazaki |
Principal Investigator |
本勝 千歳 宮崎大学, 農学部, 准教授 (30381057)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | カンキツ / 倍数性 / 非還元花粉 / 果樹 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究はヒュウガナツの枝変わり品種‘西内小夏’にみられる非還元花粉形成の過程・メカニズムに関する知見を得るために,個体内で倍数性が異なる組織におけるDNAマーカー(SNPマーカー)の遺伝様式をもとに推察しようとするものである. これまでの実験によって,’西内小夏’およびハッサクにおいて共にヘテロで同じ遺伝子型となっているSNPマーカーが5遺伝子座15か所において同定された.今年度は,ヒュウガナツとハッサクの実生集団を用いて,それらのマーカーの分離を調査した.その結果,5つの遺伝子座のうち3遺伝子座において,χ二乗検定において実生集団におけるホモ:ヘテロ:ホモの期待分離比1:2:1に合致すると判定され,その中で遺伝子座CiC5327に存在するSNPマーカーが最もよく適合した.以上の結果より,このマーカーを以降の遺伝解析に使用することとした. 次に遺伝解析を行うためのモデルプロットの作成を試みた.ヒュウガナツとハッサクの実生においてCiC5327のSNPマーカーをホモに持つ個体を使用して,それらのDNAを様々な濃度比で混ぜ合わせることにより,異なる対立遺伝子数をシミュレートしたサンプルを作成した.それをリアルタイムPCR装置によってSNP解析することによって,各対立遺伝子の数の比が二次元平面上に反映されたモデルプロットを作成することができた. 一方で今年度は‘西内小夏’ב西内小夏’,ヒュウガナツב西内小夏’の組み合わせで受粉した果実を収穫し,果実から採取した正常種子の内種皮をフローサイトメータで解析したところ,分析した計18サンプル中12サンプルにおいて,6倍体の位置にピークが見られた.これらの個体について,内種皮と発芽実生からそれぞれDNAを抽出し,SNP解析によってそれぞれの遺伝子型を明らかにし,各遺伝子型から西内小夏非還元花粉形成への知見を獲得する予定である.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究計画に記載したマーカー選抜からジェノタイピングおよびキャリブレーション(モデルプロットの作成)までを本年度までに達成でき,順調に進んでいると判断している.また,交配により‘西内小夏’非還元花粉と非還元卵が受粉されたと推測される種子を獲得していることから最終年度に向けての実験材料も確保できている.
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Strategy for Future Research Activity |
最終年度であるH30年度は,これまでに確立してきた解析方法を実際の‘西内小夏’非還元花粉が受粉してできた後代に対して適用することによって,SNPマーカーの遺伝様式から非還元花粉形成の過程に関しての知見を獲得する.H29年度までに解析用のサンプルも既に取得しているが,H30年度もさらに交配を行い,さらに解析サンプル数を増やす予定としている.
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Causes of Carryover |
(理由) 予算執行は約95%行っており,次年度使用額が発生した理由は,予算消化のための無駄な調整を行わなかったためである. (使用計画) H30年度配分額と合わせて,必要物品の購入に充てる.
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