2018 Fiscal Year Annual Research Report
A novel loss of pungency mechanism of Capsicum and identification of the causative gene
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16K07605
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Research Institution | Kindai University |
Principal Investigator |
小枝 壮太 近畿大学, 農学部, 准教授 (00629066)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | トウガラシ・ピーマン / 辛味・非辛味 / カプサイシノイド / 分岐鎖脂肪酸 / CaKR1 / Rad-seq / リシークエンス / マップベースクローニング |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は最有力の候補遺伝子をCaKR1と命名し,No.3341の非辛味性との関係性を調査した.辛味品種HabaneroとNo.3341のCaKR1の転写産物の配列を比較したところ,No.3341の転写産物3'末端はHabaneroと大きく異なった.また,No.3341の第一イントロンには約4.5kbpのトランスポゾンが挿入しており,これにより転写産物に異常が生じていることが明らかになった.CaKR1はputative ketoacyl-ACP reductaseをコードしていたことから,カプサイシノイド合成経路の分岐鎖脂肪酸合成に関与していることが示唆された.そこで,辛味品種においてVIGSによりCaKR1の発現を抑制したところ,果実におけるカプサイシノイド蓄積量が有意に低下した.さらに,CaKR1の機能を想定するとNo.3341の果実においてカプサイシノイドの前駆体である8-methyl-6-nonenoic acidが蓄積しなくなると想定されたため,GC-MSを用いてHabaneroとNo.3341における蓄積量を調査したところ,仮説通りに蓄積はNo.3341においてのみ認められなかったことから,CaKR1は分岐鎖脂肪酸合成に関与していることが強く示唆された.以上より,No.3341ではCaKR1の変異により辛味成分であるカプサイシノイドを果実で合成できなくなり,結果として非辛味性となっていることが示された.これまでカプサイシノイド合成に関する多くの研究がなされているが,分岐鎖脂肪酸合成に関与している遺伝子の変異が非辛味性を誘導する事例は本研究により初めてである.現在,CaKR1の変異より非辛味性を示すと考えられる複数の品種を発見しており,交雑試験および遺伝子解析より本研究で見出したメカニズムの一般性を明らかにしている途中である.
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