2016 Fiscal Year Research-status Report
ムギ類赤かび病菌における新規宿主内伸長遺伝子の解明
Project/Area Number |
16K07612
|
Research Institution | Gifu University |
Principal Investigator |
須賀 晴久 岐阜大学, 生命科学総合研究支援センター, 准教授 (20283319)
|
Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
|
Keywords | 植物病原性遺伝子 / ムギ類赤かび病 / カビ毒 / Fusarium / 菌類 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究はムギに病害とカビ毒汚染を与えている赤かび病菌について、菌を防除するうで重要な宿主体内での菌糸伸長に関わる遺伝子の解明を目的としている。この研究は大きく、1、宿主内進展能欠損株と野生株の交配、2、宿主内進展能に連鎖するDNAマーカーの探索、3、候補遺伝子の絞り込みと野生株における遺伝子破壊の準備、4、野生株における遺伝子破壊株の作成と性状調査、の4つのステップから成っており、本年度については当初の計画に沿って1と2を実施した。 1、宿主内進展能欠損株0233007と野生株0407011の交配を繰り返すことで、連鎖解析に用いる交配子孫株を43株取得した。それら一つ一つを宿主であるコムギの穂に接種試験した結果、宿主内進展能を持つものが23株、持たないものが20株であった。 2、本研究開始にあたって予備的に得ていた交配子孫株20株及び25個のシーケンスタグ化マーカーを用いた連鎖解析結果によれば、0233007株における宿主内進展能欠損の原因変異は第1染色体上に存在すると推定されている。そこで、予備試験で原因変異が予想される領域付近に位置していた7個のマーカー及び、これまでの研究で開発した各種シーケンスタグ化マーカーの中から2個のマーカーを新たに選抜して計9個のマーカーとし、43子孫株のゲノムを分析した。その結果、これらのマーカーは宿主内進展能と強い連鎖関係が確認され、0233007株の原因変異が第1染色体上のVNHK1041マーカーからVNHK957マーカーの間に存在することが分かった。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究の目的は、赤かび病菌の宿主内進展能欠損株を用いてその原因を遺伝子レベルで解明することである。研究計画上、初年度となる今年度は交配子孫株をと分析マーカーを追加して予備試験で得られていた連鎖解析の精度向上を図ることが予定されており、計画通りに終了した。
|
Strategy for Future Research Activity |
当初の予定に沿って、次年度(平成29年度)に候補遺伝子の絞り込みと野生株における遺伝子破壊の準備、平成30年度に野生株における遺伝子破壊株の作成と性状調査を実施し、最終的に宿主内進展能欠損の原因の変異を特定する予定である。但し次年度、予想以上に候補遺伝子を少ない数まで絞り込めるようであれば、野生株における遺伝子破壊より、変異株への野生型遺伝子の導入の方が効率的であるため、方法を変更する可能性もある。
|
Causes of Carryover |
今のところ原因領域を第1染色体上のVNHK1041マーカーからVNHK957マーカーの間に絞り込むためにかかった費用が当初の想定より少なく済んだことで、次年度使用額が生じた。
|
Expenditure Plan for Carryover Budget |
しかし、原因領域の絞り込みが終了したわけではなく次年度(平成29年度)にはさらに絞り込みが必要で、新たにPCR-RFLPマーカーを原因領域に設定してゆくことになる。次年度使用額はそのため必要な消耗品の購入などにあてる予定である。
|