2017 Fiscal Year Research-status Report
植物病原菌と密接に関わる繊維状ファージの解析と利用
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16K07616
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
川崎 健 広島大学, 先端物質科学研究科, 助教 (00510299)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | ファージ / 植物病原菌 / 青枯病菌 / 分子生物学 |
Outline of Annual Research Achievements |
青枯病菌の病原性や生理活性に影響を与えるRSSタイプのファージについて特にORF13(転写因子のホモログ。内部にattP配列が存在し、溶原化することでORF長が変化する可変長ORF)に注目し研究を行っている(A)。また、このRSSタイプのファージからは極めて安定なプラスミドが作製、利用できるが、低コピー数であるという問題点があった。今回コピー数が増加した変異RSSファージを用い、コピー数の増加したプラスミドの作製と選抜、その原因領域の調査を行った(B)。 Aについて:ORF13を発現プラスミドに導入し、青枯病菌に導入するとポイントミューテーションが入ったものしか取得できない。このことからこのORFは青枯病菌において有害であり、厳密な発現制御を行う必要性がある。昨年度、このORFが影響を及ぼさない大腸菌内でカセットを作製した。これを用い青枯病菌への導入を試みたが安定性に乏しい状況である。より発現リークの少ないプロモーター、リプレッサーの探索が必要と考えられる。 Bについて:昨年度、コピー数を3倍程度にすることに成功した。このプラスミドを用い、高濃度の抗生物質存在下における選抜を繰り返したところ、元のプラスミドと比べ20倍ものコピー数のプラスミドを作製することに成功した。一方で、このプラスミドの安定性は低下しており、抗生物質非存在下では容易く脱落することが判明した。このことから、この改変プラスミドは植物体内でのモニタリング用ではなく、青枯病菌で目的遺伝子の高発現用として用いることができると思われる。また、このプラスミドの配列を確認したところ、その変化はORF3に集中していた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
28、29年度に予定していた8項目のうち、6項目までは完了しているため、おおむね順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
研究計画通り研究を行っていく。 ORF13の宿主への影響:変異遺伝子を導入した株について生理活性(病原性、増殖速度、運動性、バイオフィルム形成能、細胞凝集性等)の変化を調べていく。 プラスミドのコピー数の増幅:当初の20倍程度のコピー数にすることに成功したことから、この実験については十分な結果を得られている。今後は、変異領域についての詳細な解析によって、コピー数と安定性の変化について調べていきたい。 また昨年度の研究において、感染した宿主の運動性を向上させるファージの発見を報告した。このファージについて詳細な解析を行い、論文を発表した。
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Research Products
(7 results)