2017 Fiscal Year Research-status Report
シンクロトロン放射光による病原性および非病原性ポリガラクツロナーゼの立体構造解析
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16K07619
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
中村 正幸 鹿児島大学, 農水産獣医学域農学系, 准教授 (90404475)
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Project Period (FY) |
2016-10-21 – 2019-03-31
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Keywords | ポリガラクツロナーゼ / 病原性 / 立体構造 |
Outline of Annual Research Achievements |
これまで、大腸菌を用いたポリガラクツロナーゼ(PG)の発現系により、不溶性タンパク質を得ていたことから、リフォールディングによる可溶性タンパク質の作出を行ってきた。希釈法により、PG活性のあるタンパク質を得ることはできていたものの、一部のタンパク質のみがリフォールディングしており、結晶化するには量が足りない問題があった。そこで、平成29年度は、大腸菌ではなく、メタノール資化酵母であるPichia pastorisを用いた外分泌発現系の構築を目指した。その結果、白かび病菌の病原性株由来S31PG1および非病原性株由来S63PG1の可溶性タンパク質の発現に成功した。P. pastorisの特徴としてネイティブの外分泌タンパク質があまり多くないため、His-tag精製も用意に行えた。また、非常に興味深い現象として、非病原性S63PG1の発現の際、C末端側に、発現ベクター内に存在するc-Mycエピトープを融合させた状態で発現させた場合、本来持ち得ていない病原性(プロトペクチン分解能)を獲得することがわかった。c-Mycエピトープを融合させずに発現させた場合は、本来の非病原性PGに戻ったことから、c-Mycを融合させた際に、S63PG1の立体構造に僅かな変化が生じ、その結果、病原性を獲得したものと考えられた。以上の結果は、PGの立体構造が病原性を左右している裏付けとなり、今後c-Myc融合S63PG1の立体構造も明らかにすることにより、病原性を担っている立体構造部分の解明につながることが期待される。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
リフォールディングにより得られた可溶性タンパク質の量が少なかったために、結晶化を試みても、理想的な結晶が得られず、この結晶化に時間をかけすぎてしまったのが遅れの原因である。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度の実験で、酵母を用いた発現系の構築に成功したことから、安定して可溶性タンパク質を得られるようになったため、来年度の実験では、結晶化がスムーズに進むと思われる。発現した可溶性PGは、病原性S31PG1および非病原性S63PG1だけでなく、今回の実験で得られたc-Myc融合による病原性獲得S63PG1も合わせて立体構造を決定したい。
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Causes of Carryover |
キャンペーン対象の試薬類や消耗品などがあったため、残金が生じた。 必要な試薬等に使用する。
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